今回の台湾旅行では、いわゆる「最初に訪れるべき観光名所」的なスポットには行けませんでした。
それは、超リピーターの弟氏にすべての旅程をおまかせしたことと、リピーターの父親が同行者だったからであります。しかしながら、リピーターの二人から「九份」だけは私に見せたかったのでしょう。事前に弟氏から次のような伺いを立てられていました。現地のツアーで「九份」を入れますが、海と山を眺められる日中の壮大な景色がいいですか?それともノスタルジックな夜景がいいですか?
それ夜でしょ!と即答。もちろん私は初めての「九份」ですが、写真などで目にするのはほとんどが夜景ばかりで、それが「九份」のイメージだったわけです。わかりました。では夜の九份ツアーで。
集合は16時にシェラトン台北のロビーでとのこと。事前申し込みによる現地オプショナルツアーですので、あちらこちらから日本人観光客が集まってきます。そして約20名ほどを乗せた観光バスは台北を離れ、九份に向けてまっしぐら。およそ40km弱を50分ほどで走り抜け、九份の到着は17時半前。
▼ 自由時間は2時間。到着したのはちょうど夕暮れ時で期待感がふくらみます。
もちろん日本語をお話しになるおじさんガイドの郭さんは、高雄のご出身だとのこと。台湾の皆さんを日本へお連れしたり日本人観光客をこうしてガイドしたりと、楽しく仕事をされているようです。
石ダタミノ階段ヲ上リマスガ、全部デ300段アリマスデス。ユックリ、気ヲツケテ上リマスデス。
バスの中で笑顔でそう説明する郭さん。
は?300段の階段?マジで?88歳の父は大丈夫なのだろうか。つーか私も大丈夫なのだろうか。
▼ 右奥が海。イカ釣り船の灯りはまさに海の夜景です。
台湾北部の山あいに位置する小さな町「九份」。しばらくの間は金鉱が閉山された古びた集落だったとのことですが、1989年に映画のロケ地として選ばれたことがこの町の運命を変えたようです。
それはともかく、例の石階段は大勢の観光客で大混雑の大渋滞。想像以上に急で狭いうえに、皆さんが立ち止まって自撮りされることでなかなか前にも進みません。こりゃ参った。とりあえず有名なお茶処を過ぎると左に商店街の路地があるらしいので、そこまでは何とか頑張って上りましょうかね。
というわけで、足がパンパンで200段以上は上ったのでしょうか。まったく父親は大したものです。
石階段の終点は「九份小学校」らしく、おそらくそこまでが300段なのでしょうが、私たちはもう限界です。「基山街」と呼ばれるレトロな商店街へと左折し、足の疲れを取りながら散策することに。
まるで映画のセットのようにノスタルジックな九份の「基山街」。金鉱の最盛期には、ここを大勢の人が行き来したのでしょう。今は目的は違えど同じように多くの人たちがここを行き来しています。
さて、時間にはまだ余裕があったのですが、父親の体力が心配になりました。集合場所へ戻るにはまたあの大混雑の階段を下りて引き返すことになりそうですが、少し危険なのではないだろうかと。
例の急な石階段には手すりやそれに相応する部分が備わっていましたが、万が一にも誰かが足を滑らせて転んでしまったら間違いなく将棋倒しになりそうです。地図を確認すると、少し遠回りにはなるも基山街をそのまま下って車道に出れば集合場所まで戻れます。ゆっくり歩いて行きましょうか。
▼ 基山街の終点(始点)に構える食事処で一休み。動けば腹も減るわけです。
▼ 100元の牛肉麺は熱々でツルツル。八角の甘い風味が疲れた身体を癒してくれました。
牛肉麺で小腹を満たして身体を温めた後には、車道を歩いて無事に集合場所へと戻ったわけですが、考えてみればあまり写真を撮っていないことに気が付きました。大混雑の大渋滞でそれどころではなかったのです。そこで、父親を休ませている間に私だけまた階段を上ることにしたのであります。
▼ 100段ほど上ったあたりの広場。先ほどに比べれば混雑は少し解消されているようです。
▼ 九份のトレードマークとも言える赤ちょうちんがいたるところで目に入ります。
▼ 石階段の両脇にも様々なお店が。もうちょい上ってみよう。息がゼイゼイ。足はパンパン。
▼ 九份の有名店「阿妹茶樓」。このアングルからの写真をよく見かけます。
▼ そろそろ集合時間なので戻りましょう。石階段もだいぶ空いてきた様子。
▼ 先ほどの広場を少し上から。本当に映画のセットのようです。
▼ 石階段をてっぺんまで上ると九份小学校。今回は断念しました。
▼ うわうわ。また混雑してきました。どうやら人の波があるようです。
▼ この交番が石階段の始点でもあり終点。大きな目印となりました。
というわけで、あっという間の2時間。集合場所に戻って無事にツアーバスで台北へと戻りました。
さて、はたして初めての「九份」はどうだったのでしょうか。
まず、想像を超える大混雑に驚きました。この日は平日の木曜日だったにもかかわらず、石階段では身に危険を感じるほどの大渋滞。この様子では週末のとんでもない状況がうかがい知れるわけです。
しかしながら、それはタイミングによるのかもしれません。おそらくツアーバスの到着が重なる時間には相当数の観光客が滞留しそうですが、そのピークさえ上手くずらせば意外に快適なのでしょう。
混雑時には少し危険に感じた石階段も、ノスタルジックな佇まいをみせる老街も、トレードマークの赤ちょうちんも、それらすべてが揃って唯一無二の魅力と言えそうです。とてもとても2時間では味わうことができない「九份」の深み。行った!という経験だけは得ましたが、まったくもって探検不足は否めません。次回には是非ともたっぷりの時間を割いて「九份探検隊」になりたいものです。