パソコンが壊れたとかなんとか言い出して、沖縄紀行も2日目で止まったまま。いったいあのオヤジは何をやっているんだか、コンニャロー。とお感じの皆さま。まことに申し訳ございませんでした。
お詫びと言ってはなんですが、沖縄つながりということで「山羊汁」のお話しをお届けしようと思います。私にとっては2年以上を費やしてやっと完遂した山羊汁プロジェクト。達成感満々なのです。
沖縄地方における食文化の一つとして挙げられる「山羊料理」。私がそのことを知ったのは、2年ほど前に訪れた多良間島でのことでした。島民数よりも牛の数が多いという多良間島。そこで牛以外によく目にしたのが山羊の姿。裏庭で山羊を飼っている民家が多いことをある商店でお聞きしたところ、あれは食用なんですよと。食用?ヤギを?食べる・・?最初は少し驚きましたが、考えてみれば北海道で羊肉を食べるのは普通ですし、「子羊の・・」という献立にはシャレオツ感さえ漂います。
それ以来、山羊料理、特に山羊汁のことをいろいろと調べますが、どうやら相当にクセのある風味らしく、沖縄県民の皆さんでもダメな人はダメらしいと。要は山羊独特の匂いが強く、それはクチャイどころか、くっせ~!というレベルなのだと。なるほどなるほど。受けて立とうではありませんか。
決して山羊界から勝負を挑まれていたわけではないのですが、あれからずっと気になっていた山羊汁。実は今年も那覇の「いちぎん食堂」で食べようとしたのですが、食堂のおばさんから止めたほうがいい的なことを遠回しに言われて断念。そうなればなるほど気になって頭から離れないのです。
山羊汁を食べてみたいというよりも、ちょっとだけ味をみてみたい。しかし、これまで沖縄の食堂で注文する勇敢さは無かったのです。なぜなら、出されたものを残せない性分の私には、万が一にも本当にダメだった場合の方策が思いつかなかったからです。それなら、まずは自宅でレトルトを試してみよう。もしダメだったら「ごめんなさい」をして残せばいい。そう思って向かった先は、錦ケ丘の「これいち沖縄」。ここ仙台ですぐに「山羊汁」が手に入ることは奇跡と言っても良いのでしょう。
おそらく、レトルトで提供されている唯一の山羊汁と思われる「オキハム(沖縄ハム総合食品株式会社)」の一品。「これいち沖縄」では税別840円。沖縄の現地価格とほぼ同じなのは嬉しいところ。
結論から言えば、拍子抜けするほど普通に美味しくいただきました。匂いが相当にヤバいと聞いていたので、封を切る際には換気扇と空気清浄機を最強にして事態に備えたのですが、あれ?あれれれ?という感じ。器へ移す前に恐る恐る封を切ったパックへ鼻を近づけると、なるほど獣系の匂いが漂ってはいますが、私にとってこのレベルは「くちゃい」以下で、やはり私はクサ系に強いようです。
好き嫌いがまったく無く、お腹が空いていれば何を食べても美味しいと感じる自分。これまでの人生で、食べられずに箸を置いた食べ物は記憶にありません。もしかしたら舌に加えて鼻も麻痺しているのでしょうか。しかし、実は勝算もありました。約20年ほど前に、当時の上司からご馳走になった山羊のチーズ。濃厚で芳醇な山羊の風味に驚いたわけですが、あれに比べればこれは軽いものです。
パックの裏面に表示されている原材料名を見直してみると、「鶏がらスープ」との記載。なぬなぬ?
これはもしかして山羊出汁が100%ではなく、山羊汁入門用に鶏がらスープで割っているのかもしれません。とは言え、肉にはしっかり山羊の風味が残り、意外にこってりのスープにも山羊の香り。
本場沖縄では匂い消しのためにヨモギやショウガを加えるらしいのですが、このレトルトに限ってはこのままで十分に美味しく、むしろ風味を消さない程度にミツバかセリを添えても合いそうです。
私としてはやっと念願がかなって山羊汁入門となった今回の山羊汁プロジェクト。決して万人におすすめできる食べ物ではなく、少なくとも羊の肉や山羊のチーズがダメな人には絶対に無理でしょう。
これは2年前にきっかけを作ってくれた多良間島のヤギさん。白ヤギさんからお手紙が着いても、それを読まずに食べる黒ヤギさん。しかたがないので、黒ヤギさんは白ヤギさんにお手紙を書きます。さっきの手紙のご用事なあに。今度は、私がヤギさんたちにお礼の手紙を出す番かもしれません。