昭和の純喫茶 ら・めーる

昨年の末に満期になったはずの「藤崎友の会」のポイントを、チマチマと半年以上も温めておいたカミさんから「さぁ、バーゲンに行こうではないか!」とのお言葉。どうせ独り占めでしょうよ。

私の場合は、家電製品のバーゲンには興味はあれど、もはや洋服のバーゲンを見て回る歳でもありません。しかし、女性はそうもいきませんので、ここは財務大臣に従うほかありません。

では、私は街をうろうろパトロールしていますので、どうぞごゆっくりお買い物を楽しんでくださいな。こういう場合には、別行動の方が間違い無くお互いに良い結果をもたらすのであります。

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昔と変わらぬ看板は、どれだけ残っているのだろう、などと思いながらサンモール一番町を少し散歩した後、やはりコーヒーでも飲みながら大臣の公務を待つしかあるまいとお店の選定を。

少し静かなところでゆっくりコーヒーをいただきたいとなると、この界隈では「アズタイム」となるわけですが、あ!そうだ、あそこに行ってみよう。うぅ・・はたして何年ぶりなのでしょうか。

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電力ビルの地下にお店を構える「ら・めーる」。おそらく30年ほど前に1~2度訪れた以来でしょうから、ずいぶん久しぶりです。こちらのお店は、おそらく仙台で現存する中では最古組の喫茶店と思われ、私などよりもはるかに目上の先輩諸氏の方々に愛された喫茶店なのです。

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現オーナーのお父様が昭和21年(終戦直後!)に南町通りで創業され、その後東一番丁などを経て、昭和39年から電力ビルで営業を続けておられるのだそうです。一つの喫茶店としては異例とも言える歴史で、以前は東北電力の本社であった電力ビルですから、おそらく歴代役員諸氏やこの界隈の老舗商店の代表の皆さんも、ここのコーヒーで喉を潤したに違いありません。

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昔は、酒類を一切出さない喫茶店を「純喫茶」と呼んでいました。平日はなんと19時で閉まってしまう正真正銘の「純喫茶 ら・めーる」。道具も当時のモノをそのまま使い続け、一杯ずつネルドリップで丁寧に淹れてくださるコーヒーは、街の喧騒をよそにカラダに染みわたるようです。

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昭和から平成に時代が変わろうとも、まるで映画のセットのような昔ながらの店内。お洒落なカフェも良いのですが、この雰囲気も実に捨てがたいものを感じてしまいます。そして、これが昭和を模して作られたものではなく、歴史がそのまま保持されているところに感服するのであります。心から、ごちそうさまでした。

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お便り

  1. dty martini より:

    ジョン万之助様
    あの頃の仙台を拝読しているうちに、どんどん深みに入り込み
    あちこちの路地裏や地下を巡ってしまいました。
    誰かのあの頃は2、3年づつずれてゆき、5年も経つと「何それ~」
    「そこ何処~?」ってことになります。まったくおもしろいものです。
    こちら「ら・め~る」は、私の初めてのデート待ち合わせの店でした。
    記憶は定かではないのですが、地下同じフロアにもう一つ「ら・め~る」が
    あったように思います。それぞれ違う所で待っていて、閉店間際に会えた、
    という昔の定番ストーリーのようでした。
    現在は、健康食品のお店になっていますね。
    若かったころは、ごちゃごちゃした狭い古い汚い路地裏には、怖くて行けません
    でしたし、むしろ気取った喫茶店が次々と開店していた時期でした。
    マニアックなサテンよりも、一般向けの「白樺」「リーベ」(畑中ビル)
    「オパール」(宝文堂地下)「雪村」「ブルーマウンテン」(藤崎近)
    なかでも中央通の「グリーン」(ダンフクヤ近、スポーツ用品店2階)は余りにも
    特徴のないサテンでしたが、いつまで粘っても嫌な顔されず、誰かの部屋にいるような
    居心地のよい店でした。
    先日は、昔勤めていた近くの、本町保坂ビルの「ティーサロン55」を思い出して
    探してみましたら、美容院になっていました。同じビルの「リヨン」のママさんが教えてくれました。(「55」は生姜焼きランチの炊き立てコシヒカリが美味かった)
    最近の楽しみは、古い仙台食べ歩き本の地図(古地図になってしまいますか)を見て
    散歩して、面白がる事ですかね。そしてジョン万之助様のブログで楽しませてもらっております。

    • ジョン万乃助 ジョン万乃助 より:

      dty martiniさん、ご来店ありがとうございます。

      「ら・め~る」はおそらく私よりも上の世代の先輩方に愛された喫茶店かもしれません。私たちの時代にジャストミートだったのは「邪宗門」や「果樹園」、「チャーリーブラウン」や「フリーフライト」、「カフェ・ソコ」や「モダンタイムス」だったのでしょう。いま思えば大型喫茶店とも言える「詩仙」や「ロイヤル」は店内が広いので長居しても目立ちにくいという利点もありました。
      そうそう、畑中ビルと言えば1階の通路沿いにインド香を売っている雑貨店があり、たまに買いに行っていたことを思い出します。また、駅前にはピザハット、中央通りにはチロル、奥田ビルの地下にはシェーキーズと、ピザにも困らなかったはずです。
      今の時代はお洒落な新店舗や食べ物をいち早く見つけてインスタやツイッターなどで紹介するのがトレンドでしょうから、私たちも負けじとナウでヤングな「ド昭和」なお店や食べ物を拡散しましょうかね(笑)。