ピーターパンと同様に、あるいはそれ以上に全国的な知名度を持つ老舗のジャズ喫茶がこの「カウント」で、まさに仙台が全国に誇る名店といっても過言ではないでしょう。
ジャズ界の巨匠カウント・ベイシーから店名をとったというこのお店は、昔も今も変わらず現在の第一生命タワービルの裏路地にひっそりと、いつものようにたたずんでいます。
しかし、ひっそりと見えるのはお店の入り口付近だけであり、一旦ドアを開けて中に入ると頭のてっぺんから爪先までジャズ漬けになるまでにそう時間はかかりません。
このお店に私が初めておじゃましたのも、おそらく高校生ぐらいだったと思います。
同じ頃、藤崎と同じブロックの南東に位置するビルの5階ぐらいに「Jazz & Now」というジャズ喫茶もあったわけですが、当時同級生だった熱狂的なジャズファンの一人はいつもそこに入り浸っていました。
少し前衛的なジャズを好む「Jazz & Now」はレコードの直売も手掛けていて良いお店だったのですが、どちらかと言うとスタンダードな「カウント」の方が私の仲間うちからは多くの支持を集めていたような気がします。
実は正直なところ、私は当時から今もなおジャズのこともオーディオのこともあまり詳しくありませんので、知ったかぶりをして多くを語りますと諸先輩方のお叱りを受けてしまいます。
当時も、おそらくジャズが好きというよりも、いち早く大人の仲間入りをしたくてこのお店に通ったのだと思います。今思えば、お店のオーナーはじめ店内にいらっしゃった常連の先輩方の皆様は、私たち小僧に対しても寛大なお気持ちで温かく受け入れてくださったのです。
日々の疲れが少したまったとき、このお店はとんでもない量のレコードやCDと、とんでもないオーディオシステムで、効き目の高い処方箋を皆様に用意してくれるはずです。
決して敷居は高くありませんよ。