今からちょうど30年前、あるトレーナー（スウェットシャツ）が東京で発売されるやいなや、その情報はまたたく間に全国へと広がり、お店にはトレーナーを買い求める客が毎日のように長蛇の列を作ったのです。今のようにインターネットなど無い時代でしたので、私たちが情報を得るには「メンズクラブ」や「ポパイ」といったファッション系情報誌を頼る以外に手立ては無かったのですが、そのような状況下でも仙台の街中でその「BOAT HOUSE」と書かれたトレーナーを着る人たちの姿をよく目にするようになるまでには、ほんの数ヶ月もかかりませんでした。
「ボートハウス」のトレーナーは爆発的に売れ、一種の社会現象の様相を呈したのですが、売れ出したのは他にもありました。「シップス」や「ビームス」、「シーズ」や「クルーズ」といったロゴ・トレーナーも街にあふれ出し、これらに「ファーラー」のサーファーパンツを合わせるのも流行ったのです。ちょうどハマトラ、ニュートラなどと呼ばれるファッションも流行した時代です。
かくいう私もちょうど学生の頃でしたので、サックスブルーの「ボートハウス」、真っ赤な「シーズ」、ネイビーの「バスケットボールチーム」のトレーナーをそれぞれ東京まで買いに行ったのを憶えていますが、今思えば恥ずかしくもあり、まったく凄まじい行動力で恐れ入ります。
その後「ボートハウス」を世に送り出したジョイマーク・デザイン社が「キャプテンサンタ」というブランドを立ち上げましたが、このお店は仙台にも出店しましたのでご存知の方も多いのではないでしょうか。青葉通りの西端ヤナセ向いあたりに構えた白が基調の洒落たお店でした。
数年前には店舗を青葉通りと国分町通りの角に移し、一段としっかり腰を据えて営業しているように見えますが、ここではジョイマークデザイン社が手掛けるほとんどのブランドが入手可能なようで、関東以北の展開はここ仙台店だけですので実は貴重な存在なのかもしれません。
キャプテンサンタのブランドは私が社会人になってからのことですが、やはり何点か購入したように思います。 学生時代に購入した前述のロゴトレーナーは、さすがに今や行方不明で実家にあるのか破棄したのか記憶にありませんが、20年以上も前に手に入れたキャプテンサンタのいくつかのトレーナーは今も所有しています。プリントに剥げかかった部分も見られますが、縫製自体はしっかりしており捨てるに捨てられません。還暦になったらもう一度着てみましょうか。
