喜久水庵 スーラートマトうどん

早いもので4月も今日でおしまい。今年の3分の1が過ぎようとしています。桜も散ってしまったなぁと寂しく感慨にふけっている間もなく、上を見上げれば新緑が目に眩しい季節となりました。つい先日まで小指ほどの大きさだった木々の葉が、日々もりもりと成長していく様は、いつもながら植物の力強い生命力を感じるのであります。一年でもっとも心地良い緑と風の季節が到来したようです。

p4121102

という前フリとはまったく関係の無いスーラートマトうどん。いわゆるスーラータンメン風のトマト入りうどんバージョンなのですが、実はこれが忘れた頃に食べたくなる一品となって困っています。

p4121103

酸辣。つまり酸っぱくて辛辣。例えれば、とても手厳しい女の子に初恋をしてしまった時の味ということかもしれませんが、おそらくこの味を初めて口にしたのは、ずいぶん昔にハワイを訪れた時。

郊外のとある中華料理店のメニューに載っていた一品には「Hot and sour soup」とありました。

ふむふむ。辛くて酸っぱいスープ。なにそれ。そんなの有り?恐る恐る頼んだ一品は、細切りのタケノコやらシイタケ、そして玉子が入ったとろみスープ。ゴンと鼻に来る酸味や、ビンと舌に来る辛味。なんじゃこりゃと思いながらも次第にくせになりそうな感覚を、今でも鮮明に憶えています。

p4121113

それ以来、街でスーラータンメンを見つけては粛々と食べ進めてきたわけですが、このスーラートマトうどんにはなぜか立ち止まってリピートしてしまいます。酸辣には違いありませんが、その中で味わうことができるトマトによる優しい酸味と甘み。これがすっきりと美味しくて困っているのです。

p4121096

喜久水庵で味わえる税別820円のスーラートマトうどん。もしも税込780円であれば、万歳三唱で拍手喝采のうえ、食べ終わった器も自分で下げにいくところですが、着席から食後まで新しいお茶を三度も提供されるのは、老舗茶舗としての誇りなのでしょう。サービスも考えれば、十分に満足です。