ちからそば かんのや

私たちに多くの感動を与えてくれたオリンピックも閉幕し、この日本は全国的にお盆。サービス業の皆さんを除いては、先週末からお盆休みの時期なのかもしれません。

私の方はと言うと、13日から久しぶりの休みを取らせていただき、お互いの実家を行き来しながらも蓄積された疲れを癒す毎日。墓参り以外はどこにも出掛けず、寝正月ならぬ寝盆の日々なのです。

例年のお盆であれば、お互いの実家を一気に回って墓参りを1日で済ませるのですが、今回はゆっくりと2日に分けることにしました。初日の13日はまずカミさん方のご先祖様へご挨拶。

このところ休みも取れずに手伝いもサボっていたせいか、義母も手ぐすねを引いて私たちを待っていたようです。花を買いに行って墓参りをして、その後は仙台朝市で買い物をしたいと。

かしこまりました。なんなりと。約半日ですが、私たちを好きなように使ってください。でも、その前に腹ごしらえでしょう。というわけで向かったのが、若林区五十人町にお店を構える「そば処かんのや」。カミさんの実家からもそう遠くないせいか、このメンバーではお馴染みです。

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お盆だけどやってっかな~。おぉ、やってるやってる。何を食べっかな~。こんな暑い日はもちろん冷たいそばに限るわけですが、その中でも何を食べようか。入り口の立て看板に掲げられた献立にはいくつかのオススメが。すあげおろしそば? 夏はコレで決まりでしょうよ。

そして私が小声で頼んだのは、「冬のおすすめ ちからそば」。アホか。カミさんの心の声がそう聞こえました。いやいや、まったくウケ狙いではなく、ネタ狙いでもありません。献立に堂々と写真入りで載っていた「ちからそば」。「冬のおすすめ」と注釈が付けてあるにもかかわらず、この真夏に食べるのはひねくれ者か。出来ますか?はい、もちろん大丈夫ですよ。

やがて目の前に運ばれた「ちからそば」。私の記憶が定かであれば、おそらく生まれて初めて食べる一品。常日頃から夏でも温かいものが好きなタチではありますが、これほど真夏が似合わない食べものは無いでしょう。でも、本当に食べたかったわけです。かつお出汁の香りが漂う店内に入ったとたん、口と舌と胃袋が自然に温かい汁物を欲したのかもしれません。

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しかしこれが私としては大正解。カラダに染みる美味しさなのです。「ちから~」と言えば「ちからうどん」が思い出されますが、「うどんに餅」だと少々ヘビーな感じでも「そばと餅」ならちょうど良いあんばいです。さらには、衣を付けてさっくりと揚げてある餅がまた香ばしいこと。

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案の定、最後の汁まで飲み干して、水分と塩分の摂取を同時に完了した次第。義母とカミさんが頼んだ「すあげおろしそば」も実に美味しい一品だったようで、冷たいそばの汁が甘くて知られる「かんのや」ですが、辛味大根のおろしがほど良く汁の甘さを中和させていたようです。

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バス通りである三百人町の南側に位置する五十人町。さらにその南側は六十人町と、合計で四百十人町とも言えそうなこの界隈。「かんのや」が面する道路は狭い一方通行で、ここはまさに裏路地のそば処。しかし、それはおそらく今だからそう見えるのでしょう。なんと明治の創業だという「かんのや」。当時は人や荷車の往来も賑やかだったに違いありません。