正左ェ門の五目そば

何はさておき、寒いのです。もうホント寒い。「地球温暖化」や「猛暑」などというキーワードを忘れるほどの毎日。ここ最近は「寒いですね~」がご挨拶代わりで、つい半年前には「暑いですね~」と言っていたがウソのようです。昨年の冬はどうだったか忘れましたが、今年は珍しく関東などでも雪を見る機会が例年よりも多いのではないでしょうか。と言うことは、やはり全国的に寒いのです。

今日も仙台の気温はさっぱり上がってくれず、クルマの外気温計は3℃を表示したままです。この季節にもっとも暖かいのはクルマの中ですが、ずっと車内で過ごすわけにもいきません。外へ出るたびにぴゅうぴゅうと吹く風が一瞬で身体を冷すため、今日は身体の中から温める作戦に出ました。

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二者択一です。久しぶりにあの店の「タンメン」か、あそこの「あんかけそば」。どちらもこれから向かう目的地に通る道沿いです。どっちにしましょ。う~ん・・。ラーメンかそばか。

クルマを運転しながらまだ決められずにいます。おいおい、もう近づいてくるぞ。いったいどっちなんだい?自分!どっちだよ、胃袋くん!ええ?なになに?鰹ダシで和風のヤツを?至急扱いで?

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自分の胃袋など、まったく信用できません。いつもこうです。あれほど「あんかけそば」だと固い決意で臨んだはずなのに、目の前に運ばれたのは「五目そば」。もちろん勝手に運ばれたわけではなく、献立を眺めた瞬間に気が変わったのです。最後まで熱々の「あんかけそば」で通すつもりでしたが、ふと目に留まった「五目そば」が私にニコリと話しかけたのです。やぁ、久しぶりにどう?

実に3年ぶりとなる「五目そば」。献立名だけを聞くと「五目あんかけラーメン」を想像してしまいますが、ここはラーメン用の麺を置かない蕎麦処。東北大学病院から見て北東に位置する柏木1丁目の「正左ェ門」。それほど蕎麦通でもない私には、今日のような寒い日に冷たい蕎麦は無理。そば湯だけで身体を温めるのは難しいのであります。そしてさっそくすすり始めた熱々の「五目そば」。

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なんと美味しいことでしょう。見た目は絵に描いたような「五目そば」ですが、蕎麦も汁も具も一切の隙がありません。シャキっとした歯応えを残した絶妙な茹で加減の青菜、ふわっとした厚焼き玉子、やわらかな笹かまぼこ、ジューシーな油揚げや鶏肉など。事前に仕込まれた数々の具を噛み締めるたびに、これは純然たる和食なのだと感じるのでした。凍った身体が解けてくる美味しさです。

ちなみに、2枚の「五目そば」の画像のうち、下は3年前に食べた宮城野の「そば処 あおば」のもの。これも十分に美味しかったはずですが、シャッキリ青菜と自家製厚焼き玉子で「正左ェ門」の優勢勝ちといったところでしょうか。

ここ「正左ェ門」はなぜか記憶に残るお店。以前も非常に身体の疲れた時に立ち寄り、一杯の天ぷらそばで元気になったことを思い出します。そして今日、冷えきった身体を温めてくれた「五目そば」。女将さんの上品な対応も、安堵の時間を与えてくださるのでした。