仙台国際ホテル 翠林

飲食店などに入ると、お店側が提示する価格とは別に、私たちが心のなかで勝手に値付けする場合があります。例えば、この日替り定食が780円とは安い!これなら千円でも食べるよ。あるいは、これで800円はボッタクリもいいとこだ。出しても500円だよな。などなど・・。

いわゆる「コストパフォーマンス」ということですが、意識するしないにかかわらず、私たちはすべての消費活動において、それぞれ独自の尺度を持って一喜一憂しているのかもしれません。

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ひょんなことから、仙台国際ホテルで昼食をご馳走になる機会を得ました。最初はご遠慮申し上げたのですが、いいから遠慮しないで一緒に食べましょうよと。あまり遠慮ばかりするのも可愛くない、という古い言い伝えがありますので、では謹んでご一緒されていただきます。

仙台市内の老舗ホテルが次々と消えてしまうなか、ホテルメトロポリタン仙台と同様に大御所とも言えそうな存在感が増してきた感のある仙台国際ホテル。その5階にたたずむ「中国料理 翠林(すいりん)」。二十数年前、おそらくこの仙台国際ホテルが開業して間もない頃だったのでしょう。ちょうどここ「翠林」で、仕事上の重要な接待を施したのを思い出すのであります。

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時刻は13時を回っていましたが、あいにく満席でウェイティング。しかし、そこはさすがホテルです。入口脇のウェイティングルームまで運んでくださる温かいお茶で、チョッと一休みなさってくださいというわけです。この心地良い「おもてなし感」は実に久しぶりに味わいます。

やがて席が用意されてメニューを出されますが、ご馳走になる身としては静かに事態を見守るのが吉。これがいいわね。隊長のお言葉もあり、全員が平日限定「週替りランチセット」を。

メインの料理が二品に、ご飯とスープ、サラダに香の物、そして杏仁豆腐がセットされるという週替りのBランチセット。ご馳走になる身のぶんざいで大変失礼かとは思いましたが、そう頻繁には口に出来ないお店の料理ゆえ、冒頭の例にそって心のなかで勝手に値付けしてみたのです。

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ミニサラダ200円。酢豚700円。蟹肉とアスパラと豆腐800円。コーンスープ350円。甘酢の香の物100円。ご飯150円。杏仁豆腐400円。そしてチップが300円の、合計金額は3千円!と出ました。しかし、実際にはサービス料込みで1,800円。

しかも、すべてが実に美味しいわけです。酢豚では、野菜の火の通し具合による歯応えや肉の香ばしい揚げ具合がまさに絶妙で、パイナップルは缶詰のスライスではなく、生のブロック。蟹肉もケチらずふんだんに盛られ、優しくもコクのある白湯スープはほのかにショウガの香り。

写真を撮り損ねましたが、熱々のコーンスープがこれまた絶品。もちろん自家製なのでしょうが、わずかに食感が残るトウモロコシの甘みも十分に感じられ、出来ることならお替りを申し出たいほどです。そして極めつけは杏仁豆腐。この風味とトロミ具合は、仙台随一と言えそうです。

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料理の味も接客サービスも、さすがはホテル内レストランといったところです。くしくも「技能五輪全国大会」なるものに出場されたというこちら仙台国際ホテルの若き女性スタッフが、レストランサービス部門で見事に優勝し、ドイツで開催される国際大会に日本代表として出場されるという記事を新聞で目にしたのは最近のこと。地元としては素晴らしい快挙であります。

ホテルのレストランは町の食堂に比べれば確かに単価が高いわけですが、対価格満足度は大きく上回ることが多いのかもしれません。ひょんなことからホテルの味とサービスを再発見することとなった今日のご馳走ランチ。隊長には足を向けて寝られません。今夜からは立って寝ることにします。