去る7月29日まで「夢メッセみやぎ」で開催されていた「とうほく自動車フェスタ」。個人的には、様々なことを考えさせられた興味深いイベントだったのであります。会場に並べられた展示車は、残念ながら現在の市販車を除いてほとんどが「Don’t touch me!」。まるで舐めるように眺めることしかできなかったわけですが、それでも存在感は十二分に伝わりました。
古い自動車も新しい自動車も、その独自の美しいスタイリングには目を奪われるばかりでしたが、様々なパーツで構成されている自動車のなかで、特に面白く感じられたのが運転席周り。いわゆる「かじ取り装置」であるステアリングの形状や大きさ、またその色までもが十車十色です。
昔懐かしいホーンリングが付いたステアリング。スポークは2本もあれば3本や4本も見られます。また、素材も硬質プラスチックのようなものからウッドステアリング、さらには革巻きまで。
近年になり、エアバッグが内蔵されたり、オーディオスイッチが付けられるようになってからは、以前のようにステアリングを好きなものに交換すること自体が簡単なことではなくなりました。
ステアリングだけでクルマを選ぶという人はいないのかもしれませんが、多少はコダワルという人は今も多いのでしょう。どちらかと言えば画一的に見える現代車のステアリングホイールに比べれば、昔の自動車にはデザイン性に富んだものがはるかに多かったと言えそうです。
さて、ステアリングには多少の「遊び」が必要だと言われます。この世には凹凸やうねりの無い真っ平な道路は存在せず、仮に「遊び」がまったく無いステアリングで中立を維持して真っ直ぐ走ろうとしても、路面の影響で必ずふらついてしまうのだそうです。つまり、真っ直ぐ走るにせよ、必ず「遊び」が必要なのだと。人生のかじ取りにも、多少の「遊び」が必要なのかもしれません。