先週のことです。あっ、そうだ。車検の見積もりを取っておかなければ。先月に馴染みのディーラーでフォグランプを直してもらった時に、車検は満了日の45日前から受けられますと言っていたっけ。確か10月28日が満了日である私のクルマの場合には、9月の中旬以降となるわけです。
不具合もなさそうですのでだいたいの予想はつきますが、やはりプロに点検していただかないと分からない部分があるかもしれません。そこで、時間もあったのでチョッとディーラーに立ち寄ってみることにしたのです。はたして予約もせずに大丈夫だろうか。あいにく営業担当はお休みでしたが、小1時間ほどいただければ見させていただきますと。では、お願いします。
車検は、ある意味「自賠責保険」と「重量税」の納付機会です。もちろん、それに加えて点検整備と消耗部品の交換。前回は新車からの初回車検だったので、お付き合いのあるカー用品専門店へお願いしました。何も問題が無いことは分かっていたので、車検費用を抑えるために。しかし、今回は5年保証内で無償交換できる部品がありそうだとのことで、購入したディーラーへ依頼を。
「見積り」とは、「いったい、なんぼになるの?」ということの総額や明細を示してもらうシステムで、比較的大きな金額になればなるほど多用されそうです。例えば、昼食を食べに行って「今日の日替わりランチの見積りを出してください」と言ったことはありませんし、デジタルカメラを見に行って、「この2万3千円のカメラの見積りをください」と言ったこともありません。
などと、相変わらずアホなことを考えながら店内外をウロウロしながら車検の見積りを待っていた時のこと。1台のクルマが目に入りました。中古車のようです。ん?お?これは実に珍しい。
私と同じクルマで、グレードの高いスポーツバージョンです。しかも、年式までまったく同じ。フロントガラスの内側に貼ってある価格を見ると、今どきの軽自動車の上級バージョンよりも安い表示。へ~。このぐらいで乗れるんだぁ。窓から中をのぞいてみると、いたるところに施された赤のステッチが実にスポーティーな雰囲気。すぐにキーをお借りして車内を見せていただくことにしたのです。わおっ!インテリアはとても綺麗です。なんだか、ワクワクしてきます。
このクルマの存在はもちろん知っていましたが、当時は価格的にも趣味的にも対角線上に位置するグレードだったのです。それが今こうしてこの価格で見せられると、少しグラっとしてしまいます。前オーナーはとても大切に乗られていたのか、内外装とも実に綺麗。私もクルマは綺麗に乗っている方だと勝手に自負していましたが、比べものにならないほどなのです。
最近の新車には食指が動かなかったはずなのに、5年前のクルマに対してワクワクしてしまいました。この感覚は実に久しぶりです。次はもっと車重の軽いクルマを。少しでも燃費が良いクルマを。場合によっては軽自動車を。そう思っていたはずなのに、いったいどの口で言ったんだよ状態。このクルマを持てば維持費も燃料費も現在よりも増えるのは間違いないわけですが、この雰囲気にときめく私はまだまだヤンチャな気持ちが潜んでいた証拠です。
店内に戻り、あのクルマを爽快に運転している自分の姿をうっとりとイメージしていたところ、無事に出来上がった車検の見積りが目の前に運ばれて、一時の夢はすぐに覚めました。
どうもすみません、急な来店に対応してくださって、ありがとうございました。そう言いながら、帰りがけにもあのクルマをチラリと。さて、オヤジの夢には続きがあるのか、現実に戻るべきか。