「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがあります。自分が知らないことを人にお聞きするのはよくあることで、たとえ他人様でもどなたかが近くにいらっしゃる場合には、迷わずすぐに聞いてしまうほうかもしれません。もちろん、時にそれが赤っ恥をかくことでも。
木々や花々の種類にはまったく疎い私でも、「あじさい」ぐらいは分かる・・はずでしたが・・。
このあじさいの中央にある小さなツブツブは、これから咲く花のツボミなんですか?
とても立派な三脚に、望遠の白レンズを装着したキヤノンの高級一眼レフを調整しておられた初老のオジサンに、私は恥を忍んでそうお聞きしてしまいました。
ん?それはね、ガクアジサイ。
手を休めてそう教えてくださったオジサンの笑顔は、少しばかり笑いをこらえたような優しい表情。
え?ガクアジサイ?あ・・これはガクアジサイというあじさいの種類なんですか?
そうそう、ガクアジサイ。
何とも言えない恥ずかしい瞬間。顔がほんのり熱くなるのでした。
綺麗でしょ?ガクアジサイ。何とも言えない可憐な姿でね、私はコレが好きで狙ってんだ。ほら、覗いてみっか?え?よろしいんですか?お言葉に甘えてファインダーを覗かせていただいたわけですが、キヤノンの高級白レンズに通された光によって映し出される可憐なガクアジサイと背景のボケっぷりは、まさに見事というほかありません。うわっ!もの凄く綺麗ですね!
ガクアジサイ。一時の恥をかいた代わりに、私はおそらく一生忘れないであろうことを学びました。
オジサンは続いてお使いの愛機のことも紹介してくださいましたが、どう見積もってもウン十万円のシステムを目の前に、パナソニックのミラーレスを持つ私の手は自然に後ろへ。丁重に御礼を申し上げ、後ろ手のカメラを隠すように私もガクアジサイ狩りへ踏み出しました。
懲りもせず、昨日にまた北山の資福寺に行ってまいりました。どうやらニュースで今頃がピークだと放映されたらしいのと、前回には持ち出すことができなかったパナソニックのGF3を試したかったからです。ニュースの影響なのか、あるいは皆さんがよくご存知なのか、先週に比べてはるかに多くの人たちでにぎわっていた資福寺。思い思いにあじさいを楽しまれています。
パナソニックのGF3に14mmの単焦点レンズだけという、どちらかと言えば軽装備で挑んだ私でしたが、前回よりもはるかに多くのあじさいをゆっくり楽しんだと言えそうです。それは、あのオジサンが教えてくださったガクアジサイのことがきっかけで、以前よりも増してあじさいを観察するようになったからです。撮影が気になった前回よりも、あじさいが気になったわけです。
正直なところ、私は普段から好んで花を鑑賞したり撮影したりする柄ではないのですが、この資福寺のあじさいには少し夢中になってしまいました。ガクアジサイだけでも様々な種類が見られ、その可憐な姿と色彩には目を奪われます。さらにすべてのあじさいを含めると、ここ資福寺だけでいったいどれほどの種類があるのでしょう。まさに、あじさい展と言えそうです。
結局は、一昨年とまったく同じ7月6日にまた撮らせていただいた資福寺のあじさい。気合が入りすぎて多くの画像を貼ってしまったようですが、資福寺のあじさいはもちろんここに載せたものだけではありません。機会があれば是非とも足を運ばれ、目の保養と心の安らぎを得られてはいかがでしょう。あのオジサンから、無心で相手をよく観ることを学んだ気がします。