平均して二週間に一度ほどでしょうか。カミさんの母親、つまり私からすれば義理の母から、買い物を手伝って欲しい旨のSOSが入ります。高齢で一人暮らしゆえ、特に重い飲料水などは運ぶのも大変なことは容易に想像でき、このお手伝いは断るわけにもいきません。ほ~い。今日はどちらで何を?ヨークマルベニで(注:ヨークベニマルのこと)冷凍食品が半額だから。ほ~い。りょーかい。
迎えに行くと、クルマに乗り込むと同時に義理の母がこう言いました。今夜はどっかで美味しいものでも食べっか?よ!待ってました!大統領!この寒空の下、身に染みる有り難いお言葉であります。
何一つ不平を言わずにこのお手伝いを続けていると、たまには大統領閣下から下々の者に対し、このような有り難いお言葉が聞かれるのです。は、はは~。な、何なりとお申し付けを~。
食事処は予想通り、義理の母が行きつけの牛タン・・いや、寿司店でした。正月の和食週間にも飽きて雑食に戻りつつあった今日この頃、あらためて由緒正しき和食を口にできるのは大変光栄です。
しかも今年になって初めての寿司。さっそく注文に入りますが、呑兵衛の二人は寿司の前になにか少しつまみたいらしく、それなら私もお茶を飲みながら是非とも牛タンを。もちろん今年初の牛タンです。何年か前からこちらで出すようになった寿司屋の牛タン。実はこれが侮れない美味しさです。
まったく文句のつけようもない、実に美味しい晩餐だったことは言うまでもありません。しかも、あらためてこうして見直してみると、これらはすべて「仙台名物」だったことに気付かされます。
牛タンや笹かまぼこ、最近では三角油揚げや麻婆焼きそばなど、いわゆる仙台名物と言われる食べ物は、地元の私たちにとって意外にも食べる機会が無いわけですが、実際に食べるとやはり美味しい。
数年前に、スーパーマーケットで売っていた質の良さそうな生の牛タンを買って帰り、塩コショウを振って焼いて食べたことがありましたが、お店でいただく牛タン焼きとは雲泥の差がありました。購入した牛タンはとても脂の乗った良い部位ではありましたが、おそらくはそれらに独自の仕込みと熟成を施さなければ、あの風味とコク、そして炭火焼きの香ばしさは出ないのだと思い知ったのです。
そして寿司のネタに代表される魚介類も、大いなる仙台名物かつ宮城名物だと感じています。もちろん魚介類自体は全国各地で水揚げされ、どこでも食べることができるわけですが、考えてみれば私たちは名だたる漁港に囲まれています。おそらくそのことが仕入れの面でも有利にさせ、仙台で食べる魚介類の美味しさに直結しているような気がします。肉食系の牛タンは仙台名物としてインパクトがありますが、県内の漁港に水揚げされる新鮮な魚介類も、立派な仙台名物と言えそうです。