愛しのマルゲリータ嬢

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宮古島で弟から用意されたビンゴゲームに、「マルゲリータ」というテーマが書かれていました。出題された様々なテーマをデジカメで写真に収めて完成を目指すのがルールですので、この「マルゲリータ」はどうしたものかと悩んでいたところ、2日目の夜に父がこう言い出しました。

「マルゲリータっていうのは、おそらく外国人の名前だろうな。しかも、イタリア系の女性の名前ではないのか?こうなったら外国人の女性を見かけたら名前を聞いて回るほかあるまい!」

その言葉を聞いたとたん、弟と私は一瞬目が合いましたがすぐにそらし、二人で吹き出しそうになるのをこらえ、震えながら宙を見つめていたのであります。なるほど、マルゲリータ嬢とは。

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少しだけ心配になり、次の日に「マルゲリータ」の意味を弟にナイショで父のケータイにメールしておいたのですが、どうも本人は理解しているんだか理解していないんだか、分からないままに。

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結局は父も私も「マルゲリータ」の写真を撮るチャンスはなかったのですが、宮古島から帰ってきてからの数日後、父から一通のメールが届きました。「イタリア人女性の名前だと思っていたアレは、ピザのことではないですか?ちょうどテレビでやっていて、そのピザがマルゲリータとのことでした。とても美味しそうだったので、今度一緒に食べに行きませんか?」との内容。

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そして本日、父はめでたく、待ち焦がれたナポリのマルゲリータ嬢との対面を果たしたのであります。あの時、メールでヒントを送ったのに・・と言ったら、弟に悟られないようにとばかり、イタリアンという事は頭に入ったが、ピザの文字だけはすっかり頭から抜けてしまっていたとのことです。

何はともあれ、ではさっそくいただきましょうか、と思った瞬間、あっ!写真を撮りましょう。ビンゴゲームは終わったけど、せっかくだからこの写真を撮ってケータイメールで弟に送ったら?と言うと、おお、そうだそうだ、そうしようと。ニコニコと笑った父の笑顔は少年のようでした。