昔は「~屋」と呼ぶ、言わば専門店が街の主流でした。私が生まれ育った小さな町のことを思い出しても、隣がたばこ屋で向かいは写真屋でしたし、中学校へ通った道をたどってみても、パーマ屋、傘屋、レコード屋、靴屋、床屋、肉屋、魚屋、自転車屋、八百屋、洋品屋、などなど。
もちろん今は、スーパーマーケットやショッピングセンターへ行けばほとんどのものが手に入るわけですから、利便性は飛躍的に高まったのかもしれませんが、逆に自己責任性も高まったと言えるのでしょう。私たちは昔のように「~屋」ごとに専門家の丁寧なアドバイスを聞きながら買い物をすることは難しく、パッケージに記載された情報を頼りに自分で判断しなければならないのです。これは特に高齢化社会にとっては厳しい状況と言えるのかもしれません。
理、美容店や、畳店、表具店のような専門職や技術職の方々がいらっしゃるお店は別として、仙台でも中心部の専門店はずいぶん減りました。老舗の「本屋」と「靴屋」はほとんど姿を消し、「酒屋」や「服屋」も目にすることが出来なくなったのは残念な限りです。
昔は商店街そのものが「専門店街」だったのですが、今や大型施設の中に「専門店街」です。はたして、どちらの方が誰にとって都合が良いのか、一概には言えないのかもしれませんが、その道何十年といった専門家が少なくなっているのは惜しむべきことかもしれません。