仙台市太白区鈎取本町の旧286号線沿いにお店を構える「蕎麦処 初代 伝五郎」。昨年の4月にオープンしたそうですが、実はつい最近までまったく知りませんでした。ふだんはクルマで通りすがりにお店を発見することが多いわけですが、この前の道路を通ることがほとんど無かったからです。数ヶ月前に知り、すぐにいつもの友人に聞いてみたところ、あぁ知ってますよと。
ええ?おそらく知らなかったのは私だけ・・とは思いませんでしたが、まだ行っていないという友人に、機会があったら一緒に食べに行きましょうよと約束をしてから早数ヶ月。やっとこさ今日になって実現する運びとなったのであります。久しぶりの秋晴れで、絶好の蕎麦日和です。
その昔に西多賀で生活していた友人は、この旧286号線界隈も詳しい様子です。そのことに油断していた私は目的地を一瞬通り過ぎるところでしたが、おっとっとっとでギリギリ左折。パン工房及び書道具店と敷地を同じくする、いわゆる古民家風一軒家の蕎麦処のようです。
到着したのが12時前だったせいか思いのほか駐車場も混んでおらず、少しだけ覚悟していた混雑予想は肩透かし。さっそく靴を脱いで座敷に上がらせていただくことにしたのです。実に趣のある昔屋敷ですね~。顔を見合わせた二人は同じ所感。いわゆる「萬之助」の雰囲気ですね。
泉区の「そば処 萬乃助」。同じ友人とも何度か食べに言っている蕎麦処で、やはりイメージはダブってしまいます。それよりもなによりも、私たちからすれば仙台市の南北にこのような蕎麦処が出来たことは実に歓迎すべきことです。ではさっそくいただきましょう。冷たい肉そばを。
「萬之助」と同様に山形蕎麦をうたっている「初代 伝五郎」。献立に載っていた板そば系とも迷いましたが、やはり初回は「冷たい肉そば」が王道でしょう。やがて運ばれた税別750円の冷たい肉そば(並)。蕎麦自体は萬之助よりも歯応えがありますが、鶏の出汁はあまり出ておらずに具の鶏肉も少なめ。これは「冷たい肉そば」に期待する個々の好みの問題ですが、鶏の風味を味わうには萬之助で、さっぱりすっきりと食したい場合には伝五郎となりそうです。
仙台市内にいながらも、どこか観光地風の蕎麦処で味わえる一品。この屋敷の雰囲気を加味しての一杯ということなのかもしれません。特等席の縁側が埋まっていたのは実に残念。食後には、どこか懐かしいこの屋敷のなかで「かくれんぼ」をしたい衝動にかられるのでした。
少しだけ欲を言えば、ファミレス風の電子呼び鈴と、風情のある戸棚部に貼られたパウチのPOPはこの雰囲気に似合いそうもありません。鎌先温泉の「みちのく庵」に置いてあった南部鉄の呼び鈴は、実に素晴らしい音色を奏でていました。座卓ごとに音程を変えた鉄の呼び鈴があれば、呼ぶ方も呼ばれる方も楽しそうです。音程で座卓を判別できれば、腕の見せどころです。