妙庵のあげなすそば

気がつけば早いものでもう9月。今朝に慌てて8月のカレンダーを切り取ったのですが、なんだか薄くなったなぁとパラパラとめくってみれば、今年のカレンダーは残すところ4枚しかありません。

先月は、お盆休みやら猛暑でカラダが本調子でなかったりと、おそらく仕事の実働時間が今年でもっとも少なかったような気がしますが、このままではイケマセン。リセットです。

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先月の初旬、カミさんが「妙庵」の「あげなすそば」を食べたいと言い出しました。いわゆる「なすの揚げ浸し」が薬味とともに盛られた冷たい蕎麦で、妙庵の献立のなかでは季節の一品となっています。確かに美味しく、この時期に食べないと来年まで食べられないのです。

でもね、チョッとお高いよね。その予算が出せるなら、他の蕎麦屋で上等な天ざる蕎麦が食べられるはず。ということで、少しブ~たれ気味のカミさんを無視しながら、他の蕎麦屋へ行ったわけです。

ほらほら、すっごいなぁ、これ。海老天が2本も入っちゃって、やっぱりコスパが高いねぇ、ウッヒッヒ~。そんなことを言い出しながら食べ始めた天ざる蕎麦。ん?ありゃりゃりゃ?

こんなんだっけ?おそらく数年ぶりでお邪魔したその町の蕎麦屋。あれれれ~。天ぷらの衣が固すぎるのは好みの問題としても、どうも蕎麦自体がいただけません。いや、昔はほとんどがこうでした。これが普通だったはずです。しかし、いつの頃からか、私たちは山形の蕎麦や新鋭の蕎麦職人が打つ蕎麦を口にするようになり、そのコシや喉越しに慣れてしまったのでしょう。

そっとカミさんを見てみると、目がつり上がって仁王像のように私をにらんでいます。やっべやべ。どうこれ?妙庵の方が良かったんじゃない?低い声で私に詰め寄ります。ははぁ。まさに。あれぇ~。昔に来た時は冬だったから、確か温かい天ぷら蕎麦でも食べたのかねぇ。は、ははは~。

あれから約1ヶ月経った今日の夕方。妙庵の「あげなすそば」さぁ。そろそろ食べに行かないと終わっちゃうね~とカミさん。ははぁ。御意。よろしければ、ご一緒させていただきますとも。

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というわけで久々の「妙庵」へ。年に一度はコレを食べないと夏が終わらないとおっしゃる奥方様ですが、確かにここ何年もキッチリと年に一度はこちらを召し上がっておられるような気がします。

おそらく以前はもっと浅い器で出されていたはずの「あげなすそば」。手打ち蕎麦の上には事前に仕込まれた「なすの揚げ浸し」、さらにその上には、ミョウガと大葉が盛られます。

上から蕎麦つゆを回しかけ、さらに別添えのネギとおろし生姜を加えて軽く混ぜてからいただきます。しっかり下味が染み込んだ柔らかい揚げなす。そして角の立ったコシのある妙庵の手打ち蕎麦。さっぱりとした中にも感じる絶妙な風味とコクの奥深さ。見事なまでの夏の一品なのです。

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世の中、多くのお金を払えば必ず満足できるとは限らないところが難しいわけですが、今回に限っては、1ヶ月前に「妙庵」へ足を運べば良かったと反省したのです。今月いっぱいの献立だという「あげなすそば」は1,400円也。私の感覚ではビッグ価格と言えますが、どうやらイザとなると女性の方が太っ腹のようです。最初に出される熱々の自家製おしぼりでも店主の姿勢が感じられる「妙庵」。この雰囲気と居心地と旨い蕎麦。対価格満足感は十分です。