サンヨー MZ3

突然にメーカー名と型番を出されても、いったいなんのこっちゃとなるわけですが、正式には「三洋電機 DSC-MZ3」というデジタルカメラです。大切に保管しておいた外箱の中を確認すると、ヨドバシカメラの店判が押された保証書には購入日が2002年12月3日とあります。

私のデジカメ購入歴のなかでは初期の頃に手に入れた製品で、おそらく3台目ぐらいだったと憶えています。使用期間は意外に長く、保存している画像データを見る限りでは、次の機種を購入するまでの4年半にわたりコレを使い続けていたという、今では考えられない真面目ぶりだったようです。

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200万画素で光学ズームは3倍。ステンレス合金ボディに覆われた本体には1.5インチで11万ドットの液晶モニターが装備され、さらに光学ファインダーまで用意されています。センサーの「1/1.8型CCD」は今となっては贅沢品ですが、当時はさほど珍しくはなかったはずです。

記録メディアがコンパクトフラッシュというところが時代を感じさせますが、実はこの「MZ3」の性能がなかなかのものでした。私は使いませんでしたが、動画の性能が当時では高く評価されたり、静止画も秒間15コマの連写機能を備えるなど、マニアがこぞって飛びついたのです。

じゃぁ私はそれを理解して買ったのかというと実のところそうではなく、何となくコレを手に入れた後にそのことを知ったのです。ただし、SANYOがデジタルカメラにおいて優秀なメーカーだったから選んだことは間違いありません。「デジカメ」という言葉自体が三洋電機の登録商標で、当時は他メーカーのデジタルカメラもOEMで生産をしていたことは有名な話でした。

その後、ちょこちょこと新しいデジカメを手に入れ始めましたが、それらは時代の進化に伴った性能を持ち合わせた機種でした。画素数も上がり、液晶モニターも格段に見やすくなったのです。そしていつの間にか、この「MZ3」に用意された場所は隠居部屋。静かな余生を送ることに。

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ご隠居さんご隠居さん、久しぶりに外に出て見ませんか?チョッと起きてくださいよ。

リチウムイオンバッテリーにエネルギーをたっぷり注入し、本体にセットしてからスイッチオン。

ん?な、なんの用だよ?

お!起きましたね?

いったい何のつもりだ。勘弁してくれよ。

さぁ、久しぶりに外へ行きましょう!午後からは雨も上がりそうですよ。

おいおい、ワシはもう隠居生活者なんだ。放っておいてくれないか。大体にして、今の若いヤツに何もかも敵うわけがないだろう。ワシのチカラは昔でこそ通用したが、今やお払い箱も同然だよ。

まぁそう言わず、心地良い秋の空気を吸いに外へ出ましょう。ね?仕事をするのかどうかはお任せしますから、まずは一緒に外へ出ましょう。暗い部屋にばかりいるとカビが生えちゃいますよ。

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ご隠居さん!スゴいです!やっぱり、まだまだ現役でイケるじゃないですか!

ん?そうか?

ええ!それは今の新人に比べれば苦手なこともあるでしょうし、焦点を合わせるのに時間もかかるようです。しかし、出来栄え自体は決して劣っているいるどころか、とても自然な雰囲気ですよ。

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実に久しぶりで息を吹き返したご隠居さんは、10年経った今でも立派な仕事をやってのけました。すでに内蔵のメモリ電池が切れてしまったのか、日付や時間などはバッテリーを取り出すたびにリセットされます。しかも、コレを持ち出す私はご隠居さんに負けず劣らず小さな文字に焦点がなかなか合わず、この1.5インチの液晶モニターを裸眼で見るのは至難の業。

10年前はこの小さな液晶モニターで問題が無かったと思うと複雑な気持ちですが、あれから私と同じ歳月を歩んできたご隠居デジカメの方が、私よりもずっとご健康だったようです。もうご隠居さんとは呼べません。たまには今日のように、一緒に外へ連れ出そうと思うのであります。