カツ丼 極

たまに立ち寄る食堂は、その時々で「売り」のメニューを店頭に大きく掲げて告知しています。

気にはなっていたものの、これまでは食べたことがなかった一品。人間とは面白いもので、平均単価の高いお店で極端に安いメニューがあったりすると「大丈夫なの?」と思ってしまいますが、逆もまたしかり。490円??おいおい、本当に大丈夫なんでしょうね、そのカツ丼。

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その名も「カツ丼 極」。かつどん「 きょく!」ではなく、かつどん「 きわみ」とふりがながふってあるその一品は、もちろんこのお店の単品価格としては異例の超高額メニューです。

いつもいただく「カレーととん汁」や「天そばとミニカレー」は300円ちょっと。ここ何年もこのお店で500円以上を支払ったことがない私。来週まで「すき家」の牛丼が250円だというのに。

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おそらく、興味津々というところもあったのでしょう。極とは、いったいどのようなカツ丼なのだろう。この食堂が思い切って490円という価格を設定したからには、相当の自信作に違いありません。

よし!こちらも思い切ってみましょう。その極み具合とやらを、存分に見せていただきましょうぞ。

「カツ丼きょく!と、みそ汁をお願いします」。ボケる時にはツッコんでくれる相手を選ばなければなりません。レジのおばさんはニコリともせず、「わかりました」と。

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思いっ切りスベったボケに気を落としながら、席に着いて出来上がりを待ちます。通常はカフェテリア方式で並べられた品をトレイに取ってレジで精算するのですが、なんとこの「カツ丼 極」は注文してから一つ一つ作るようです。おぉ・・極み具合に、少しだけ期待が持てそうです。

そして、7~8分ほど待ったでしょうか。「カツ丼 極、1番でお待ちのお客さま~」との呼び出し。はいはい私です。はやる気持ちを抑えるフリをしながら、なぜか早足で取りに向かう私。おぉ?ちょっと~。このカツ丼の面構え、なかなかいいんでないすか?まさに、出来立て感満載。

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むむ!これはスゴい。このお店でこんなにぶ厚い肉が出てきたのは初めてです。しかも、小鍋で一から作るカツ丼に違いなく、この食堂の形態から言えば実に手の掛かる一品となっています。玉ねぎも上手い具合に煮込んであり、その出汁も実に美味しいのです。

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主役とも言える「カツ」も思いのほか柔らかく、確かにこれを極めた一品と名付けた気持ちは理解できそうですが・・。まったくスキが無いかと言えばそうではありません。カツの中心部が少し冷たいというかヌルいのです。おそらく、あまりにもカツが厚すぎて煮込み時間内だけでは完全に温まらないのでしょう。作り置きのカツでしょうから、致し方ないのかもしれません。

家庭であればカツを煮込む前に少しだけ「チン」して温めたいところですが、それはそれで肉の柔らかさに影響が出るのでしょうか。はたしてこの問題をこの食堂の厨房で解決できるのかどうかは分かりませんが、やはり「極」という冠は、相当に難しい到達点なのかもしれません。

490円なんだから勘弁してくれということなのか、あるいは「カツ丼 特上」に変更すべきなのか、そんなことを考えながらもペロっと完食した「カツ丼 極」は、十分に美味しい一品でした。