言わずと知れた「築地銀だこ」。それまで私たちが口にしてきた普通のたこ焼きより一回りも二回りも大玉で、焼き上げる際には多めの油で表面を揚げるように仕上げることで、外はカリカリ中はとろとろ。分かっていながらも、必ずやけどを負うほど熱々でいただくことになります。
この、言わば「揚げ焼き風たこ焼き」は「銀だこ」が最初だったのでしょうか。記憶が定かではありませんが、おそらく10年ほど前に仙台駅東口の「たこ福」で食べたたこ焼きが、私にとっては初めての「揚げ焼き風たこやき」だったような気がします。当時はまだ「銀だこ」を目にしていませんでしたので、私にとってはどうも東口の「たこ福」の印象が今も強いのであります。
とは言え、ここまで店舗が増えてくると、やはり食べる機会も増えてくるのです。今やイオン系を始めほとんどのショッピングモールで目にすることができる「築地銀だこ」。個人的に、8個で500円という価格は決して安いとは思いませんが、どこの店舗で食べても一定した品質が提供される安心感と、それを裏切らない美味しさ。間違いないという印象は持っています。
その「築地銀だこ」を運営する会社が本社を石巻市に移転させるとの発表は、私たち宮城県民にとって実に驚きの報道でした。今や全国で300店舗以上を有する企業が、宮城県でも最大の被災地である石巻市に本社を移すと決断したことは、私たちにとってもこれ以上の心強い支援は無いだろうとさえ思えるほどの英断です。報道では、雇用も数百人規模で予定されるようですが、将来にはもちろん自治体に税金も納税されるという恩恵も期待できます。
直接的には何の関係が無い私でも、この報道を耳にしてからすでに2度ほど「築地銀だこ」へ足を運び、おそらくこれからもここのたこ焼きを食べる機会は増えるに違いありません。一消費者としても、今回の社長の英断を無にしてはならないと率直に感じるからです。私が何か少しでも応援できることがあるとすれば、それはこの「たこ焼き」を食べるということなのです。
おそらく戦略的に「築地」という名前は外さないでしょうし外すべきではないと思いますが、できることなら将来的には志津川のタコを使って「志津川産極上たこ焼き」などというメニューを登場させて欲しいものです。また、すでにメニューに含まれている元祖下町ソース焼きそばは、もちろん元祖石巻ソース焼きそばへと変更。全国300店舗以上で石巻焼きそばが提供されることになれば、復興へのスピードが一気に加速するでしょう。