餅は餅屋 村上屋餅店

昔に比べると「専門店」の数はめっきり少なくなりました。それもそのはず、今や1店のスーパーマーケットに行けばそこで手に入らないものはなく、わざわざ何店舗も回って買い物をこなすのは非効率とも言えるのかもしれません。しかし、時と場合によって「餅は餅屋」なのです。

R0019757

米どころ宮城。そのせいか、個人商店の「餅屋」や「だんご屋」が古い商店街に佇んでいるのを目にすることがあります。また、古川の「もちべえ」や一迫の「もちっ小屋でん」など、会社組織で本格的に展開する餅屋も出てきており、餅好きの一人としては大歓迎なのであります。

さて、この仙台において名の知れた餅屋と言えば、東の横綱である宮町の「遠藤餅店」。そして西の横綱とも言える北目町の「村上屋餅店」あたりが、満場一致でご賛同いただけそうです。

この際、勢いで食べ比べてしまおうかとも思ったのですが、油断して餅を何個も食べると動けなくなります。やはり食べ時が買い時だということで思い直し、今回は「村上屋餅店」の賞味を。

R0019759

R0019765

R0019779

なんともクリーミーな「づんだ」の食感。そしてふんわりとやわらかい餅。仙台にいながら、村上屋餅店の「づんだ餅」を食べたのは実に何年ぶりでしょうか。私たちにとって馴染みの深い「づんだ餅」は、その気になればどこでも手に入るはずなのに、意外にもこうして真剣に向き合うことは少なくなっているのかもしれません。実に上品な「づんだ餅」は3個入りで567円。

一方で、こちらの加美郡加美町「米澤屋」というところの「ずんだ餅」は3個入りで240円。村上屋餅店の半額以下でありますが、味も半額?とんでもない、十分に良い勝負なのです。

R0019783

R0019788

R0019791

ところで、村上屋餅店と遠藤餅店は「づんだ」と表記しますが、それ以外のほとんどのお店は「ずんだ」となり、「づ」と「ず」に違いが見られます。実はこのことを村上屋餅店で伺ってみたところ、なにせ明治10年の創業なのではっきりとしたことは分からないが、おそらく当時は旧仮名遣いで「ず」を「づ」と表記し、それがそのままになったのだろうとおっしゃっておられました。

う~ん、なるほど。つまりは、「づんだ」と表記するのはごく一部の老舗店だけということになり、「餅は餅屋」の観点で言えば、「ずんだ餅」よりも「づんだ餅」の方が説得力がありそうです。