有限会社 久美食堂 本店

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大学病院の北側に位置する一方通行の路地にたたずむ「久美食堂」。こちらも以前からクルマで通るたびに気になっていた食堂で、先週自転車で出た際にやっと立ち寄ることが出来ました。正式名称は「有限会社 久美食堂 本店」という、とても重厚な店名に聞こえるのですが、あたかも人の名前を連想させるところに興味を惹かれ、いつかは行ってみたいと企んでいたのです。住所は青葉区柏木1丁目で、考えてみるとこの柏木一帯は実に良い食堂が点在しています。

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私がお店に入った14時20分ごろ、店内には誰もおらずお店も静かで暗かったのですが、コンマ5秒でテレビと照明のスイッチが点けられました。張り紙で確認したところ昼の営業は14時半までだったようで、もしかしたら厨房の火も落とされた後かもしれず、少し申し訳なく感じたわけです。

店内は大きなカウンターテーブルと小上り席が用意され、おそらく三十名程度は入ることができそうな、意外にも広い空間。いそいそとラーメンを注文してからゆっくりとメニューをながめてみると、定食類をはじめ実に美味しそうな数多くの品が揃えられています。14時半でしたので軽くラーメンにしてしまいましたが、次回には是非とも定食モノを試してみたいと思ったのでした。

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おそるおそる店名の由来をお店の人に伺ってみたところ、先代がお店を開く際に愛娘の名前を店名にしようと決められたそうで、それから実に44年もの間「久美食堂」という店名で営業していると恥ずかしそうにお話してくださった方が、まさに愛娘さんである久美さんご本人でした。

残念ながら先代であるお父様は3年前に亡くなられたそうですが、お父様が決められたお店の名前とそのお店に対する想いは間違いなくご家族へと受け継がれ、これからも「久美食堂」としてのれんを守り続けていかれるのだろうと勝手に想像しながら割り箸に手を伸ばしたのです。

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500円で食べることができるラーメンはとても丁寧に作られているもので、意外にスープのコクもあり、分厚いチャーシューやしゃきっとしたほうれん草などなどラーメン専門店も顔負けの美味しさで、特にどんぶりのフチに赤文字で描かれた「久美食堂」の文字も泣かせるところです。

場所柄、おそらく東北大医学部の学生さんや医療従事者も多く訪れるであろうこちらの食堂。もしかしたら、ここでエネルギーを補給して全国へ旅立った名医も少なくないのかもしれず、この「久美食堂」の存在を頼もしくさえ思えてくるのでした。街の食堂には、チェーン店では決して味わえない様々なストーリーがあるものです。