私が子供の頃、仙台で親が時々立ち寄った菓子店が「信用堂」か「嵯加露府」でした。
特に「嵯加露府」の「デリース」や「クロカント」というお菓子は、今は亡き祖父母のお気に入りだったようで、自宅に戻ってから家族全員でご馳走になったのを憶えています。
中央通りアーケードの藤崎の斜め向い辺り、ちょうど三原本店の向い路面に「嵯加露府」はあったはずでが、今はありません。もう何年も前に姿を消してしまいましたので、自分の記憶からも消えかけていたわけですが、なんと移転していたという情報を・・。
場所はなんと、仙台市太白区緑ヶ丘の住宅街で、これは正直申し上げて少し奇妙な光景です。
実に完璧な住宅街ですから、周りにはお店らしいお店が一軒もありません。そのようななか、クルマがすれ違えない路地の一番奥、つまり袋小路に「嵯加露府」はありました。
お店というよりも、工房兼ご自宅のようです。おそらく、何らかの理由で中央通りのお店をたたんだ後、工房をご自宅に移してお菓子を作り続けていらっしゃるのでしょう。
プチ感動の再会です。もう何十年ぶりでしょうか。もちろん「デリース」は昔のまま。私はどちらかというと、甘味のカテゴリーではスポンジ系や生クリーム系を苦手としていますが、タルト系やクッキー系は大好きです。
この「デリース」も中にチョコクリームを挟み込んだクッキーで、サクっとした食感と程よい甘味がお茶類を引き立ててくれます。
そして「クロカント」。これも感動の再会でした。
昔は上にシールが貼ってなかったような気がしますし、もう少し大きかったような記憶なのですが、おそらくこれは、自分の手や口が小さかったための錯覚なのでしょう。子供の頃に登った木が、今見ると小枝に見えるのとまったく同じ現象かもしれません。
味はまったく昔のままで美味しい!昔の自分にはとても高級なお菓子に思えた「デリース」と「クロカント」。今年の祖父母の命日には、一つずつ供えようと思います。報告と感謝を込めて。