レコード屋 ランブル

一番町アーケード商店街の南端は南町通りですが、道路を渡ってさらにへ南へ行くと、当時は古本屋(古書専門)やビリヤード場がありました。現在はビル自体が取り壊されているようですが、よく立ち寄っていた輸入レコード店「ランブル」もこの辺り右側の古いビルにあったのです。

私が当時レコードを買う時には、「サンリツ」か「ヤマハ」が定番だったのですが、その頃ハマっていたブルースやR&Bのレコードを手に入れるには、輸入レコード店の存在も非常に重要で重宝していたのです。

「ランブル」のオヤジさんは少し小太りで、見るからにどうも少々アヤシイと言いますか、アル中気味の眼つきをしていた妙に変わった方でした。しかし音楽や自店のレコード類には物凄い知識を持っていましたので、お客は彼を信頼していたのです。

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コレはアメリカを代表する「モータウン」というレコードレーベルが1970年にリリースした5枚組みのBOXもので、社長のコメントやら当時所属していたスターたちのインタビューを交えながら彼らの曲も収録されているという、その頃では少し珍しい限定発売モノでした。

確か当時でもそこそこの値段だったので悩んでいたところ、またいつものランブルのオヤジの魔法トークにまんまと引っかかって、気が付いたら買ってしまっていたのでした。学生時代はバイトもしていましたし、確かに悪くない買い物だったのかもしれません。

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レコードはCDと違って大きくて重かったのです。どのお店も、ジャケットよりひと回り大きい四角形のレコード専用袋を用意していましたが、たいていは紐がついていないただの平たい袋でしたので、私たちはそれを脇に抱えるように、大切に家まで持ち帰ったものでした。そして次はそれらをカセットテープに手作業で録音して、「ウォークマン」で音を外に持ち出すという流れ。まさにアナログど真ん中の音楽生活を送っていたわけです。

そう言えば、カセットに録音した音楽を「ウォークマン」で初めて聴いた時の衝撃ったら。本当に腰が抜けるほど良い音に聴こえましたね。親指ほどのデジタルオーディオプレーヤーで音楽を聴くことの出来る時代が到来することなど、当時は誰一人として予想していなかったのかもしれません。