宮古島の「新城(あらぐすく)海岸」にお店を出す「パーラーみよし屋」。いわゆる海の家です。この島ではビーチ内での物販が禁止されているらしく、このお店も移動トラックを駐車場へ停めて営業をしているようです。売っているのは軽食やドリンク類、またシュノーケル用品もレンタルしているのですが、この「みよし屋」さんご夫妻のおもてなしは、とても心地良いものでした。
実は前日に「吉野海岸」という島内屈指のシュノーケルビーチへ行ったのです。珊瑚に覆われたその海中では多くの熱帯魚が見ることができ、それはそれでとても貴重な経験でした。しかし駐車場は有料で、レンタル屋さんやら物販屋さんやらの営業トークがばしばし。完全に観光化された雰囲気の場所でしたが、まさに観光地ですから特に気にもしなかったのです。
しかしここ「新城海岸」は雰囲気がまったく違いました。さほど広くない駐車場はもちろん無料で、吉野海岸のようにビーチ内で営業しているモグリの業者もおらず、この「みよし屋」さん他1店のレンタル屋さんだけでした。実にゆったりとした時間が流れている感じなのです。
「みよし屋」さんで設営したらしい屋根付きのベンチは完全に無料施設のようで、しばらく座っていても誰も何もすすめにきません。朝食抜きで午前中に来たので、たまりかねて軽食や飲み物をトラックまで注文しにいくと、綺麗な奥さんらしき人がベンチまでお届けしますと。
そのうち、真っ黒に日焼けされたご主人がやっと現れたので色々と話しをしてみました。ベンチ内やビーチの砂が綺麗にならされていることを聞いてみたら、毎朝ゴミを拾って砂もならしているのだそうで、もはやこのビーチの番人といったような意識を持った方でした。そのほか、島の産業のことや魚のことや植物のことなど、とにかくこの島が好きで多くの人にこの島の魅力を伝えたいという気持ちが、ご主人の話しからひしひしと伝わってくるのです。
この新城海岸で出会った地元のお二人は、人間的な魅力に溢れた素敵なご夫妻でした。そんな「みよし屋」でいただいたスパムと玉子焼きの入った「ポーク玉子おむすび」とホットコーヒーは、空腹だったということを抜きにしても至高の美味しさ。特に150円のコーヒーはもちろんインスタントでしたが、私にはどんな専門店のコーヒーよりも美味しく感じられました。この「みよし屋」の屋根付きベンチは、心を癒す至福の特等席なのかもしれません。