いまどき、クルマを一生懸命に手動で変速しているドライバーはあまり見かけません。
現に、普通乗用車の100台中95台がオートマチック車だそうで、ギアの多段化はもちろん燃料消費率の向上など、メカニズム自体も昔に比べて格段に進歩しているわけですから当然と言えば当然です。今やマニュアル車を選択する理由は少なくなりつつあります。
その状況のなか、一昨年に購入したクルマで20年ぶりにマニュアル車を選択し、毎日懸命に手動での変速を楽しんでいるわけです。
マニュアル車を選択しようと思った理由はいくつかありましたが、一番の理由は「左手」が急激に暇になってしまったことです。それは、クルマ内での喫煙を止めたこと。そして、なんと言っても影響が大きかったのは、運転中に携帯電話を持つことが禁止されてしまったことです。
もうそうなってしまったら運転中に私の左手に残された仕事は鼻くそをホジることぐらいしか無いわけですが、左手の指をずっと鼻の穴に突っ込んでおくわけにもいきませんし、だいたいにしてさほど大量に取れるものでもありません。調子コイて鼻血ブーではシャレにもならないということです。
そんなわけで、一昨年から私の左手に加えて左足も、一気に忙しくなってしまいました。
ところが、これがやはり楽しい。自転車と同じで以前に乗りこなしていたことを身体が覚えているわけですが、久しぶりということもあってか子供のようにワクワクとして乗ってしまうのです。
おそらくオートマチック車に比べると、脳がいくつもの命令を一度に出す場面が非常に多くなるのですが、これも実は自分が望んだことです。もっと運転に集中すべきだとの理由で。
左手と左足、そして脳の活性化をもたらしてくれる手動変速機。燃費も格段に良くなりました。
各自動車メーカーには、今後もこの選択肢を残してくれることを願うばかりです。