シャツのハンカチ

今日の午後、コンビニに立ち寄ったついでに駐車場でクルマの中を整理していると、何となく見覚えのある紙袋を見つけました。中を確認してみると、あ!これ、ここにあったんだ・・。

一時はずいぶん探したのですが、なかなか見つからずにそのまま諦めて忘れかけていたもの。自分が着ていた古いシャツで作られたハンカチで、まさに世界でたった一つのものです。

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仕事で着るシャツは、自分の中で一軍と二軍に何となく分けられているようです。例えば、今日は初めてお会いするお客様だから「一軍の白」でいこう、などという具合。もちろん、あからさまに見て分かるような差は無く、それは自分だけのほんの小さなこだわりなのでしょう。

同じものを着る機会が増えると、当然のことながら傷みも早く進みます。クリーニングの回数が増えて首周りが縮んできたり、袖のところが擦り切れてきたり。そうなってしまうと、さすがにそのシャツは役割を終えることになるわけですが、貧乏性の私は捨てることができません。

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ずいぶん前のことですが、お客様とそのような話しになったのです。すると、そのお客様がこうおっしゃいました。あら、そのシャツを持ってきなさいな。ハンカチを作ってあげるから。

え?ハンカチですか?なるほど!それはいいアイディアですね!ご年配でいらっしゃるそのお客様は、以前に洋服などのお直しを経験されていたらしく、ハンカチぐらいは簡単に出来そうだというのです。捨てられない、という私の気持ちを感じ取ってくださったのでしょう。

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お気持ちは実に嬉しかったのですが、それじゃお願いしますというわけにもいきません。柄にも無くモジモジしている私を見て、いいから遠慮しないで今度持ってきてみさないと。

いったい古いシャツでどんなハンカチが出来上がるのだろうという興味もあって、結局は謹んでお願いしたわけですが、さらにワガママを申し上げてメーカーのラベルも縫いつけていただくことに。

数週間後、私にとっては想像以上のハンカチが出来上がっていました。どうせヒマだからミシンじゃなくて手縫いにしたから、と言いながら差し出してくださったお客様の笑顔は今でも忘れられません。これなら、もう縮んだり擦り切れたりすることはなく、半永久に使えそうです。

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その後、自分の失念によってクルマに入れたままだったシャツのハンカチ。おそらくもったいなくて使えないという気持ちが無意識に働いて、大事にしまっておいたのかもしれません。なんだか一気に得した気分になりましたが、そのお客様にバレたらゲンコツを食らいそうであります。

綿100パーセントですので、ハンカチにはうってつけ。今後も古いシャツが出てきそうですので、中古のミシンでも購入してチャレンジしてみるべきか。カミさんに相談したら、間違いなくコレは無理だと。だよね。かと言って、ミシンに向かうオヤジの姿は、見た目にも無理でしょう。