「 こがねの稲田に とんぼが光り 蔵王がはるか 呼ぶところ 」
「 蔵王の峰は輝きて 空美しく野はみどり 」
「 不忘のふもと 水清らかに 新生日本の もといをきづく 」
遠い記憶が確かならば、上から順に私が卒業した小学校、中学校、高等学校の校歌です。それぞれ出だしのワンフレーズだけですが、例えば小学校などは「稲田にとんぼが光る」わけですから、どれだけのどかで自然が多い故郷だったかが、お分かりいただけるかと思います。
そして興味深いのは、それぞれの歌詞に必ず「山」が入っているところで、私が通ったすべての学校では「蔵王連峰」がキーワードです。例えば高等学校校歌の「不忘」というのは「不忘山」のことで、小中学校の校歌にはズバリ「蔵王」という言葉が用いられているのであります。
宮城県南部で生まれ育った私は、「山」と言えば「蔵王」。見上げると、いつもそこにそびえ立つのが「蔵王」だったからです。登山を趣味とすることもなく、決して山好きとは言えないのですが、ずっと蔵王を見て育ったせいか、今でも蔵王を眺めると心が落ち着くような気がします。
小さい頃にそばにいて育ててくれた亡き祖母は大の蔵王好きで、あの手前の山が「青麻山」でその奥がなんたらかんたらと、蔵王連峰すべての山名や岳名を私に教えてくれたものですが、あっぺとっぺな私に覚えられるはずがありません。青根温泉が好きでよく泊りにも行っていた祖母。今は実家からほど近い蔵王連峰が見わたせる小高い山の墓地で眠っています。
さて、「校歌にみる山」というのは何も私の出身校だけの話しではないのでしょう。当然のことながら、他の学校の校歌を聞くチャンスはなかなか無かったので分かりませんが、おそらく宮城県南部の学校は「蔵王」関連が多いのではないかと推測できます。では仙台などでは?
仙台市内の学校校歌で「山」が入るとなると、「八木山」というのは一部に限られそうですが、「青葉山」という歌詞は十分に多そうな気がします。場所によっては「太白山」や「泉ヶ岳」なども出てくるのでしょうか。こればかりはOBやOGの皆さんにお聞きする以外にありません。
宮城県北部となると、おそらく「栗駒山」や「船形山」が歌詞に出てくる学校校歌は一つや二つではないはずですが、実際のところはどうなのでしょう。現在からさかのぼると高校時代がもっとも近いはずなのですが、生真面目に歌う機会が少なかったせいか意外に忘れかけています。個人的には小学校校歌が鮮明ですが、やはり6年間もの長きにわたって歌ったからなのでしょうか。皆さんは出身校の校歌を今でも憶えていますか?そこに「山」は入っていますか?