こちらは知っていても、おそらく相手は私たちを知らないだろう。よけいな言葉を交わしたこともないお店。美味しそうなケーキをいくつか買って帰るだけのケーキ屋さん。そんなお店が震災以来ずっと閉まっていると、なぜかとても気になるのです。なんとか再開して欲しいと。
確か昨年にオープンした町の小さなケーキ屋さん。近所なのでたまに利用させていただくようになっていました。おそらくご主人と思われる職人は、いつも奥のキッチンで黙々とケーキ作りに励み、おそらく奥様と思われる可愛らしい女性が、にこやかに接客されていた小さなお店。
甘さを抑えたその美味しさはもちろん、比較的リーズナブルな価格とあってたまに利用させていただいていたのですが、先月の中旬でしたでしょうか、割れた店頭のガラスに透明のテープを施した姿で、やっと再開してくれました。胸をなで下ろすのです。
友人でも知人でもない、ただのお店と客の関係。たとえそのお店が再開しなくとも自分には何の影響も無いはずなのに、なぜかとても気になってしまう震災後の成り行き。以前のように何とか再開して欲しい。すべてのお店が以前の状況に戻って欲しいと願わずにはいられません。
ジャスコ(イオン)中山店の3階にお店を構えていた中国料理店。ここは少し顔見知りになって、言葉を交わしたこともあったお店。ジャスコ自体が1階の部分営業から徐々に再開し始め、3階フロアに出入り出来るようになったのが先月の下旬。さっそく気になっていたこのお店に足を運んでみると、皆さんが店舗復旧の作業中でした。再開するんですね?
そのままお店を閉めてしまおうか、本当に迷ったそうです。しかし、お客様の要望や従業員の雇用を考えると、どうしても再開しないわけにはいかず、また借金を背負って出直しですよ。そう笑い飛ばすオーナー。4月28日には再開できそうですと聞いていたので、30日にちびっ子たちを連れて食べに出掛けました。お店側も喜んでおられたようですが、私も喜んでいます。
これはほんの一例で、おそらくいたるところで同じような状況が起こっているのでしょう。なんとか以前のように再開を。そして、以前のような何気ない日常が一日でも早く戻りますように。