そば処 萬乃助

「天ぷらそば週間」が過ぎ去って「ざるそば週間」が始まりました!などという話しはいかにも出来レース的ネタではありますが、これはホントにまったくの偶然。古い友人から、国見ヶ丘に趣のある蕎麦屋がありますね、とのハナシが。はいはい、「妙庵」ですね。個人的には仙台でベスト5ですと答えると、北中山を下ったあたりにも美味しい蕎麦屋があるらしいと。

ん?北中山?長寿庵?店名は?聞いたハナシなのでわからんと。その後に、ハナシの出どころから聞き出した店名がメールで届いたのですが、おぉ!そこなら私も行きたかったお店なので、「妙庵」はまたの機会にして行ってみましょうかね、そこ。となったわけです。

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そば処 萬乃助。以前からウワサは耳にしていたのですが、どこにあるのだろうと思っていたお店です。1年ほど前に仕事へ向かう途中で偶然にもこの前をクルマで通り、あ!ここだったのか、と発見はしていたのですが、これまでなかなか訪れる機会に恵まれませんでした。

北環状線の中山イオン(旧ジャスコ)交差点から北方面へ。よそ見運転をしない程度に泉ヶ岳を眺めながら、ひたすら真っ直ぐ。シベールや聖和短大を通り過ぎて北中山を下りきった信号の手前を左折すると、1分弱で右手に現れるのがこのお店です。おそらく以前は農家の民家だったのでしょうか。広い敷地が駐車場となっており、13時半過ぎでもほぼ満車です。

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10分ほど待ってから案内されたのは広い座敷。座敷と言っても、板の間にワラ編み風の丸い座布団が用意された田舎の食事処といった雰囲気で、この光景は山形などでの蕎麦屋として決して珍しくはありません。そして、こちらで提供するのも山形風蕎麦。望むところです。

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板そばと散々迷ったあげく、結局は2人とも冷たい肉そばを。意外なほどに鶏スープを感じさせる出汁は、不思議と脂っぽさが鼻につくわけでもなく、実に上品な風味でまとめられています。冷たい、というお品書きから想像されるほど出汁がキンキンに冷やされていないのは、おそらくこれ以上冷やすと、鶏の脂分が溶けずに固まってしまうからなのでしょうか。

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さて、この冷たい肉そばは700円。今回は大盛りをお願いして800円でしたが、丼ぶりも一回り大きく蕎麦の量も想像以上で大満足。本場の山形県河北町で食べた肉そばと比べれば、食べ応えという点では若干優しい仕上がりに感じますが、山形へ行かずとも板そばや肉そばなどがここで食べることができるのは、私たちにとって実にありがたいことです。

昼飯にちょっくら蕎麦でも手繰る?とフラっと立ち寄る雰囲気よりは、あそこにあれを食べに行こう!と明確な目的と気合を携えて訪れる郊外の蕎麦屋と言えそうな、そば処 萬乃助。

藤崎近くの「焔蔵 (えんぞう)」とは姉妹店だと聞いていたのですが、実は資本も経営者もまったく別で、こちらの萬乃助からあちらの焔蔵へ蕎麦粉を提供しているのだそうです。

仙台市内からもそう遠くないこの場所ですが、どこか少し遠くへ来てしまったと錯覚させる絶妙なロケーション。肝心の美味しい「そば」だけではなく、この広い敷地と庭、そして建物の趣、さらには気の利いたサービスも含めた総合力が、多くの人から支持される要因なのでしょう。