「トラットリア・コン・ブリオ・ノッツォ」や「イル・グラッポロ・ダ・ノッツォ」と言えば、日本でも屈指のイタリアンレストラン・・。
というのはまったくのデタラメで、今日は仙台弁の「のっつぉ」です。
ローマ字で書けば「nozzo」になると思われますので、どうしてもイタリア語に聞こえてしまう場合があるのですが、「つぁ」や「つぉ」という発音は、宮城や仙台では決して珍しくはありません。
さて、「のっつぉ」ですが、例えばこのような場合に使われます。
■「あら、なんだや、あんだいのとうちゃん、朝がらどっかさ行ったのすかわ?」
□(あら、なんでしょう、おたくのご主人、朝からどこかにお出掛けしてしまったの?)
■「んだがら~たぶん、ほのへん、のっつぉこいでんだべ~」
□(そうなのよ~たぶん、そのあたりを、用もないのにブラついてんでしょ)
つまり「のっつぉこぐ」という使われ方で、仕事ではなく、何か生産性のないことをぐだぐだやっている、あるいは(相手からみて)くだらないことに時間を費やしている、という意味なのでしょう。そして「のっつぉこぎ」や「のっつぉ」というのは、そのぐだぐだしているご本人を指すようです。
この「のっつぉ」は、どちらかというと家庭用の言葉ですので、例えば「所長、今月の成績ですが、月初に少しのっつぉこぎましたので、思うような成果は上げられませんでした」というように、勤務先で仕事中に用いられることはまずありませんが、家庭では連発される場合もあります。
休みの日に、行き先も告げずにこっそり家を抜け出してパチンコに行ったならば、あなたは立派に「のっつぉ」呼ばわりされることでしょうし、灯油を買ってきてくれと言われたのに帰りに本屋に立ち寄ったりすると、定刻を過ぎたあたりから私たちは「のっつぉこぎ」の仲間入りを果たすのです。
「つぁ」や「つぉ」では、例えば「あっつぁいげ」「こっつぁこい」や「ごっつぉさん」などの言葉は、わりと頻繁に聞かれるのではないでしょうか。「Azza」「Cozza」「Gozzo」と書くと、まるでイタリアンです。
他の多くの方言と同じように、この「のっつぉ」も地域などによって多少意味が違うかもしれませんが、少なくとも褒め言葉ではなく、相手を軽くののしる場合に使いますので注意が必要です。なんとかこれからは、誰からも「ノッツォ」と言われないよう、私も品行方正に生きていきます。