仙台もしくは宮城全域で使われる方言に、「おどげでね」という言葉があります。
「今日はかなり寒がったなや」
「おどげでねくれ寒がった」
「ありや? 久しぶりに会ったっけ、あんだずいぶん太ったんでねぇの?」
「おどげでねよわ」
「今度入った新入社員、かなりめんこぐね?」
「おどげでねぇ」
この例えは別としても、じもぴぃ同士の会話では比較的よく出てくる方言の一つかもしれません。
方言の場合には、はっきりとは訳すことの出来ないニュアンスを伝える言葉も多いですし、同じ方言でも地域によって多少意味合いが異なるケースもあるようです。この「おどげでね」も方言辞書などを参照すると、「とても」「たいへん」「並みの事ではない」といった訳が出てきます。
ちなみに、私が子供の頃から頭に埋め込まれた「おどげでね」の理解は、「とんでもない」「物凄い」「有り得ない」といった「最高ランクの事態に近い」意味で、少しだけ緊迫感が漂う感じです。そこで「おどげでね」をあえて今の言葉で表現するとしたら、意味は「マジやばい」に近いのかもしれません。
「今日はかなり寒かったね」
「マジやばい」
「あれ? 久しぶりに会ったら、あなたずいぶん太ったんじゃない?」
「マジやばい」
「今度入った新入社員、かなり可愛いんじゃね?」
「マジやばい」
ところが、「おどげっつぁん」という言葉も出てきますから大変です。これはほとんどの場合「おどげでね」と同じ意味で、「おどげでね」の副詞に対して名詞的活用の「おどげっつぁん」。
なぜ「おどげでね」が「おどげっつぁん」になったのかは不明ですが、元々「つぁん」もよく使われる言葉で、「おどっつぁん」や「おんつぁん」などのように「人」を表す名詞に付け加えられます。
なお、宮城においては「菊地さん」や「引地さん」などのように、最後に「ち」のつく名字や名前の場合には、例外なく「きぐっつぁん」や「ひぎっつぁん」と呼ばれることを覚悟する必要があります。
もしかしたら誰かが、とんでもない事態の「おどげでね」を少しだけユーモラスに擬人化させるために「おどげっつぁん」と言い始めたのかもしれませんが、真相はまったく不明であります。
「今日はかなり寒がったなや」
「おどげっつぁんだなや」
「ありや? 久しぶりに会ったっけ、あんだずいぶん太ったんでねぇの?」
「おどげっつぁんだよわ」
「今度入った新入社員、かなりめんこぐね?」
「おどげっつぁんだぁ」