サバだしラーメン 食堂きかく

現在は「石巻市相野谷字飯野川町」。かつては「桃生郡河北町相野谷飯野川」。このあたりでは「飯野川」、あるいは「河北町の飯野川」と言ったほうが分かりやすのかもしれません。

仕事で石巻方面へ伺った今日、例によって昼食をどうするかが悩みどころでした。それほど空腹でもなく、昨日に美味しいものをいただいたから今日は昼抜きかと思っていたところ、飯野川で一軒のシブい食堂が目に入りました。むむ?サバだしらーめん?立ち寄り決定です。

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まるで昭和映画のワンシーンのような雰囲気を見せる飯野川商店街。震災の影響なのでしょうか。おそらく取り壊された跡なのか更地もところどころに見えるわけですが、時計屋さん、肉屋さん、新聞店、クリーニング店など、昔ながらの専門商店が静かに立ち並ぶ商店街です。

その商店街の一画にお店を構える「食堂 きかく」。店頭に掲げられた「カツ丼」と「らーめん」のノボリ、そしてお店そのものの雰囲気に悩殺されてしまったようです。さっそく隣の駐車場らしき更地にクルマを停め、暖簾をくぐりながらガラガラっとした引き戸を開けてしまいました。

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店内は、もはやレトロ感をかもし出しているどころではなく、まるで昭和の食堂そのままです。お茶を出されてからさっそくメニューを見てみると、大きく「サバだしらーめん」と書かれた一枚のパウチ。あ、そう言えば店頭のノボリにも同じものが。さらに「飯野川ぐるめ」の文字が。

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お聞きしてみると、いわゆる「ご当地ラーメン」で、ここ飯野川の5店舗で提供している一品なのだとか。おお!飯野川グルメとは!これを食べずして帰るわけにはまいりませんぞ。

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見た目はかなり現代風とも言える「サバだしらーめん」。チャーシューにメンマ、そして大量のネギに、なんとニンニクチップと揚げネギ、さらにサバのつみれがドンと。あっさりしたなかにもコクがある薄醤油味のスープに、細めのストレート麺がスルスルと喉越し良く入り込みます。

飯野川が誇る渾身の一杯は、あっという間に私の胃袋へと消えたのでありますが、肝心のサバだし。正直なところ、標準の状態で胡椒が多すぎて、しかもニンニクチップが入っていて、さらにネギ類も多すぎて、サバだしが隠れてしまっていたような気がしないこともなく。何となく奇をてらって力み過ぎた感も否めず、もっとサバだしを全面に出しても良さそうです。

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とは言え、偶然にもここ飯野川のグルメに出会えたことは実にラッキーでした。昭和13年の創業だという「食堂 きかく」は、亀と鶴と書いて「きかく」。「鶴は千年亀は万年」と言いますから、おそらくご商売が末永く続くように付けられた屋号なのかもしれません。創業からは早74年という老舗中の老舗。この昭和の雰囲気を、いつまでも保っていただきたいものです。