安斎埋木店

それほど時間が経っているわけでもないのに、新しい建物が建ってしまうと以前の光景がなかなか思い出せなくなる場合が多いのです。ここ「パルコ」が出来た場所もそうです。

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ここは約3年前まで「第一ビル」という当時としては立派なビルが建っており、私が仙台に出入りし始めた頃には既にありましたので、非常に多くの方々に知られたビルだったはずです。

その第一ビルの1階角に、「安斎埋木店」という郷土の工芸品や土産品、たばこなどを取り扱うお店があったのですが、実は青葉通り一番町角の「森天祐堂」と同様に20年以上前、当時の重要なお取引先として、こちらのお店も一時期担当させていただいていたことがあるのです。

「埋木(うもれぎ)」というのは亜炭層から発掘された約500万年も前の希少な樹木の工芸資材で、実は全国的にみても仙台の広瀬川や青葉山などで採掘されたことから、埋れ木細工は仙台の名産とされているようですが、おそらく数は非常に少なく入手も困難だと思われます。

当時から未熟営業マンだった私は残念ながら埋れ木細工に興味もなく、いつもお店にいらした綺麗な奥様に対して緊張しながら自分の任務を遂行するのに精一杯だったように思います。

同じ第一ビル1階の駅寄りには、「ラーメン・餃子・バラ」というお店もありましたが、ここは永いこと仙台駅前のラーメン店として君臨し、バナナのような大きさの餃子が特に有名でした。また、ビルの東側に隣接していた立体駐車場は近隣デパートの指定駐車場でしたので、特に休日は込み合っていたのを思い出しますし、1階西側にはスニーカーショップ、地下には様々な飲食店が入居しており、正直なところ私の年代ではパルコより利用頻度は高かったわけです。

「第一ビル株式会社」はビルを建て替え、「仙台マークワン」と名称を変え再出発しました。メインテナントが「パルコ」に決まったことで不動産賃貸業としては良いスタートなのでしょう。個人的には安斎埋木店さんのことが気になっていたのですが、市内の別な場所で営業を続けられているようで安心しました。貴重な仙台名産の埋れ木を、今は見てみたいものです。