森の香本舗の高級どら焼き

ある人から強く勧められていました。一度は食べてみればいい。絶対に美味しいから。でも、高いよ。300円だもの。どら焼きで1個300円なんて、聞いたことないでしょ?でも、食べてみれば安いと思うかもしれない。丹波産の大納言小豆をあれだけ使えば、もしかしたら安いかもしれない。

う~ん。困りました。いったい高いのでしょうか安いのでしょうか。もちろんどら焼きは好物の部類に入りますが、それほど詳しいわけではありません。しかも、私はドラえもんではありませんので、年に何十個もどら焼きを食べる習慣はありません。う~ん。でも、気になっていたのは事実です。

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そのお店は「森の香本舗」なんだと聞いた時にピンときました。この前はたまに通る道路で、信号待ちだと真正面に風情ある店構えが目に入るのです。さらに、数年前に鎌先温泉の「みちのく庵」へ伺った際、お茶うけとして実に美味しいお菓子でもてなしを受けたわけですが、その製造元が「森の香本舗」となっていたのです。そのことからも、このどら焼きの話しは妙に納得できるものでした。

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大のオヤジがポケットから3枚の100円玉をじゃりんと手のひらに取り出して見せ、どら焼き1丁!と叫ぶわけにはいきません。私にだって恥じらいというものがあるのです。結果、初めてお邪魔した「森の香本舗」で心を落ち着かせながら選んだのは、どら焼きと柏もち、そして茶まんじゅう。

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お目の高い皆さんならば、これらの写真で美味しいかどうかがお分かりいただけるかもしれません。

自家用で、とお伝えしたにもかかわらず、厚手の丈夫な紙箱に入れられた3点の和菓子。いかにも質の高そうな大粒の小豆がみっしりと入れられたどら焼きは、ふだん目にするものよりも一回り以上は大きく、しっとりとした皮も中のあんこも、雑味がまったく感じられない実に素直な風味なのです。

上品な甘さのこしあん入り柏もちは、ほのかな葉の香りが餅に残り、どら焼きとは異なるあんこが使われている粒あん入り茶まんじゅうも、小豆の風味がほど良く活かされていることが分かります。

そこで、ある人の勧めを思い出しました。いわく、あそこはどら焼きの皮に膨張剤を使わず、小豆に塩も加えない。よけいな添加物は入れないんだと。なるほど。素材を活かす和菓子の王道なのだと。

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というわけで、税別300円のどら焼きを皮切りに、一気にやっつけた250円の柏もちと110円の茶まんじゅう。1個で相当の満足感が得られるどら焼きは、例えばショートケーキなどの価格を考えれば300円で高いとは感じませんでしたが、これなら安い!と思うほど私が通ではないのも事実。むしろ110円で提供されるまんじゅう(白と茶)のパフォーマンスに驚かされることにもなったわけです。

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青葉区大手町の住宅街にお店を構える「森の香本舗」。常連さんが多く、特にお茶会の世界でも知られた和菓子店なのだそう。仙台城下の大橋からもほど近いロケーションで、店内外とも風情ある小洒落た雰囲気をかもしだしています。そこで気になったことが一つ。この、のれんの模様は何だろ?

店頭ののれんに限らず、包装紙やどら焼きの皮にまで記されている、森の香本舗のトレードマーク。

おそるおそるお聞きしてみたところ、これの元デザインは伊達家の家紋の一つである「雪に薄」なのだとか。そうなんですか。その雪に薄(すすき)を、グラフィックデザイナーからの転身だという現店主がアレンジされたのでしょう。随所に仙台を感じさせる「森の香本舗」。銘店の香りでした。