カープルのチーズハンバーグ

先週のことです。客人の接待やら家の中の片付けやらで、カラダが少しへろへろ気味になっていた夕刻。今夜は久しぶりにどこか外で食べようかということになりました。いいっすね~。で?どこで?サイゼリア?王将?なんだかワンパターンです。ほいじゃぁ、ロイホで?

さほど遠くないところで考えると、どうしてもパターン化してくるわけです。あっ?あそこは?ハンバーグの。ほら、カープル!いいっすね~。ハンバーグ・・。実に素敵な響きです。

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というわけで、おそらく夕食時間の一番客として伺ったのは、泉区南中山1丁目にお店を構える「カープル」。確か1970年代の創業とお聞きしたことがありますから、もはや老舗の洋食料理店と言っても良いのでしょう。看板メニューのハンバーグはもちろん、人気のオムライスやオニオングラタンスープ、エビフライやビーフカレー、さらにはグラタンやビーフステーキなど。

今や珍しいと言えるほどの古き良き洋食の献立が用意される貴重なお店です。・・などと知ったフリをしていますが、実は単にメニューを見て言っているだけでして、私がここで食べるのはいつも同じ。チーズハンバーグなのです。他の献立はまったく食べたことがありません。

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震災後に訪れるのは初めてです。しばらくの間は足場が組まれていましたから、おそらく建物内外の被害を修復されていたのでしょう。店内に入ると、以前は白かった壁の色が変わっており、なんだかリゾートのレストランにでもやってきた気分です。さてと・・。今日は何をいただきましょうか、とメニューをながめるのは、万が一にも他に良いものが無いかの確認です。

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結局はまたチーズハンバーグを。まったくのワンパターンです。ここでは「ミラノ風ハンバーグ」となっていますが、要はチーズハンバーグ。なんでこうなるんでしょう。たまには違うハンバーグを食べてみればいいのに。

思えば、子供の頃に両親から初めて食べさせてもらった外食でのハンバーグは、佐々重ビルの2階にあった「チサンレストラン」のチーズハンバーグ。

店内に入っただけで漂う洋食系の匂いに圧倒され、そして生まれて初めて口に入れたチーズハンバーグは死ぬほど美味しかったのでしょう。おそらくその時の思い出と味が脳にインプットされたまま、あれから何十年も経とうが、私の中でハンバーグはチーズハンバーグなのです。

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これからまた10年、20年と歳を重ねても、どうせまたチーズハンバーグばかりを食べているに違いないと想像すると、思わず一人で笑ってしまいました。それだけ子供の頃に味わった美味しい記憶は強烈で、それはきっと一生涯消えないのだろうと。

そんなことを考えさせてくれたのは、ここ「カープル」のフワフワでトロトロと柔らかいチーズハンバーグが絶品だからというばかりではなく、何となく昔を思い出すような献立やお店の雰囲気が手伝っているのでしょう。

添えられるジャガイモのフライやニンジンの甘煮も、もちろんすべてが手作り。今やセントラルキッチンで半加工されて店舗まで届けられるファミレスとは、手間も料理人の腕も大きく違うのでしょう。それでいて価格は、油断しながら食べるロイホあたりと変わらないようにも感じます。あと10年、いや20年、チーズハンバーグを何とかここで食べさせていただけることを願うばかりです。