マルキチ阿部商店

先週に実家の父が泊りに来た際、天気が良ければ石巻まで行こうということにしていました。お目当ては、渡波に出来たという「かき小屋」です。ところが、予定していた19日は春の嵐で突風の一日。5月頃まで食べられるようなので、今回はとりあえず延期にしましょうかね。

その約束がずっと気になっていたわけですが、急きょ今日の午後から仕事の予定が空きそうな気配。さっそく父に誘いの電話をすると、何も予定が無いから行けそうだと。よっしゃ~!ほいじゃこれから迎えに行くので、石巻まで行っちゃって、渡波で牡蠣を食べまくりましょうか。

例によって大渋滞の三陸道を通って「かき小屋 渡波」に到着したのは13時半。ところがどっこい。なんと、今日は臨時休業だと。とほほ・・。しかし、今週末には再開し、4月の初旬には仙台市宮城野区にもオープンの予定があるという有力な情報を得てUターンしました。

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さて、どうしましょう。残念ながら「牡蠣」はまたの機会になりそうですが、このまま手ぶらで帰るのも何ですね。などと話しながら、万石浦の北側を走る国道398号線を女川方面に向かうと、ちょうど石巻と女川の境付近にお土産店らしき建物が。「マリンパル女川」とあります。

あれれ?ここにマリンパルが?おさかな市場?いいですね~。まず、とりあえず寄っていきましょうか。お腹も空いたしね。ということで、ここにクルマを停めて少し休憩することにしたのです。

さっそく店頭で買った「石巻焼きそば」を食べながら店内に入ってみると、何となく聞き覚えのある店名が。マルキチ阿部商店?はて?さんまこぶ巻き?あ!テレビで視たお店だ!

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先月でしたでしょうか。NHKのドキュメンタリー「あの日わたしは ~証言記録 東日本大震災~」という番組で、女川町のことを取り上げていたのです。その時に放映されていたなかの一つが、この「マルキチ阿部商店」。NHKですから、もちろん店名は出ていませんでしたが、工場が全滅したなかで再開を果たされたこちらの「さんまのこぶ巻き」が、とても美味しそうだったわけです。

さっそくお店にいらっしゃったおかあさんに、そのことをお話ししてみると・・。

あ~あれね、私、私だぁ。あのテレビ、視でけったの?

え!あの時に息子さんと出演されていた、あの?おかあさんですか?(実は社長さん)。

いや~。ビックリ!テレビを視た後に「さんまこぶ巻き」をネットで調べて、こちらの商品だということを知りながらも、なかなか買いに来られなかったのです。

おそらく、私たちが想像もできないご苦労をされたのでしょうが、そのようなことは一つも顔に出さず、阿部商店のおかあさんは終始笑顔で実に愉快なお方です。記念に写真を撮らせていただいてもいいですか?いいよ~。インターネットに載せさせていただいてもいいですか?いいよ~。ホントですか?世界中におかあさんのお顔が出てしまいますよ?いいよ~。

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偶然の出会いというのは面白いものです。NHKに出演された女川の有名人が、今こうして目の前にいらっしゃるわけで、加えて実に美味しそうな「さんまこぶ巻き」もやっと手に入れることができるのです。おかあさんは、急に訪れた私たちにお茶や果物まで出してくださいました。

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あえて「マリンパル女川(支店)」とでも言うべきこちらの建物は、向こう5年間の予定で営業されるのだそうで、マルキチ阿部商店の他にも鮮魚や海産物を扱う数店舗が出店されていました。

もちろん、今は無き「マリンパル女川(本店)」よりも規模は小さいようですが、それでもこうして美味しそうに並んでいる海産物を拝見しているだけで、お腹がざわつき始めるのです。

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少しでも復興のお役に・・などと恩着せがましいことを考えたわけではありません。石巻の牡蠣にしても、牡蠣が大好きな父と私の意見が一致し、是非とも一緒に食べに行こうという話しになっていただけです。そしてこの「さんまこぶ巻き」にしてもまったく同じ、「食欲」なのです。

NHKで放映されていたこの商品の調理工程は、まさに手作り。さんまを昆布でぐるぐるに巻き、それを大きな釜でグツグツと何時間も秘伝のタレで煮込むというあの映像を拝見してから、早くこれを食べたいと思っていたわけです。仙台市では藤崎百貨店に置いているというマルキチ阿部商店の「さんまこぶ巻き」。県産品には、まだまだ美味しいものが数多くありそうです。

石巻の「かき小屋 渡波」は実に残念でしたが、その結果で偶然にも立ち寄った「マリンパル女川」。水曜と土日はおかあさんが店番だそうですから、是非また笑顔を拝見しに伺いましょう。