ラーメン アオバ

なかなかタイミングが取れずに昼食を食べ損ね、仙台駅前でやっと時間が空いたのは14時半。う~ん・・今日はこのまま昼飯を抜いてしまうか、あるいは何かサラっとでもお腹に入れるべきか。もしも空腹が原因で倒れたりしたら、即座に救急車がやってきて、その結果仙台市消防局に迷惑をお掛けすることになりそうです。やはり、少し何かを食べることにしましょう。

あ!またと無いチャンス。あそこに行ってみましょう。数十年ぶりの「ラーメン アオバ」。

目指すはams西武(現:仙台ロフト)の地下ですので、東五番丁通りに面する十字屋(現:ヤマダ電機)の脇から地下へ下りてみることに。と、ここまでは良かったのですが、地下へ潜り込むのも実に久しぶりで、現在地さえ分からない「ここはどこ?」状態。迷子になりそうです。

地下鉄開業当時は、河原町から仙台駅まで地下鉄で通っていたはずですが、それ以来はめっきりご無沙汰。こうして久々に地下通路へ下りると、いったいどっちがどっちかも分からずに右往左往です。目印としての風景がまったく無いという世界は、平静を装った私をドキドキさせます。

CIMG3133

やっとたどり着いた「ラーメン アオバ」。ちょうど私が学生の時にオープンしたお店で、おそらく30年選手でしょう。当時はここでラーメンを食べ損ねると、あとは一番町の伊達らーめん(山水亭)か番丁ラーメン、予算が少ない時には第一ススキノで、という選択肢でした。

どちらかと言えば、寡黙で実直そうなおやっさんが切り盛りしていた狭いラーメン店でしたが、味も良くてなかなか繁盛していたように記憶しています。その後、社会人になって生活スタイルの変化と共にこの前を通ることは少なくなり、自然と足も遠のいてしまったわけですが、5~6年前に通りかかった時には、お弟子さんも増えて貫禄が付いたおやっさんの顔が、とても懐かしく感じたのです。

CIMG3134

CIMG3136

CIMG3137

CIMG3139

実に残念でなりません。震災の影響で閉店してしまうお店は決して少なくないのでしょうが、それが自分の想い入れのあるお店だと何だかなおさら悲しくなってしまうのです。店頭の「お知らせ」には改修工事を断念した旨が記されていますが、本当にそれだけなのでしょうか。

おそらくここで独立を果たしたおやっさんも、とうに還暦は過ぎておられたでしょう。しかし、せめてあと10年は頑張っていただき、その後はお弟子さんに看板を引き継がせる選択肢もあったはず。しかも繁盛していたはずですから、資金的にも大きな問題は無かったのでは?と。

勝手な憶測は失礼ですが、もしかしたらあのおやっさんのことですから、その資金をお弟子さんたちの保障に充てられたのかもしれないと想像するのです。いずれにしても、被害が大きすぎてカメラを向けることすらできなかった若林区大和町の「あべーる」、そしてここ「ラーメン アオバ」。青春の思い出が詰まったお店が無くなってしまうことは実に寂しい限り。

多くのファンに支えられたとは言え、30年もの間このお店へ立ち続けた店主。想像を絶する仕事ぶりとその功績には、言葉にできないほどの尊敬の念を抱かざるを得ません。とにかくお身体を十分に休められ、できることならまたどこかで腕をふるっていただくことを静かに願うばかりです。