高速道路無料化

本日の6月20日から、東北地方の高速道路で無料化が始まりました。これはすでに政府が発表していた内容で、それと引き換えに、土日などで実施されていた上限千円の施策は昨日で終了となったようです。私はこの発表があった際、なぜ「被災者」に限定したのだろうと疑問を持った一人で、より多くの人に適用されれば、たとえ高速道路料金の徴収額は減るにしても、税収も含めてそれを十分にカバーでき得るぐらいの経済活性化へと繋がるだろうと思ったのです。

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当初の発表では、高速道路を無料で通行するには「り災証明書」の提示が必要だとのことでした。私の理解では、「り災証明書」は不動産、つまり建物の被害程度に対して証明されるもので、例えば「義援金」を受け取るには「半壊」以上の認定が必要となるのが一般的です。

ですから、今回の高速道路無料化についても、建物の被害がほとんど無かった私などには無縁の施策だと思っていたわけです。ところが、先週ぐらいから様々な情報が流れるようになりました。岩手県のある自治体では「停電」を「り災(被災)」とみなし、全町民に証明書を発行するというような報道が。この認定基準が、各自治体の判断に委ねられているようなのです。

そのようななか、本日の午前中に先輩から1本の電話が。どうやら仙台市でも高速道路が無料になる証明書を比較的簡易に発行しているらしいぞ。え?そうなんですか?マジで?

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さっそく夕方に青葉区役所へ立ち寄ってみたところ、その話しは本当でした。役所言葉が非常に多いので実にややこしいのですが、私が理解するには、つまりこういうことのようです。

「り災証明書」は、これまで通り建物の被害程度を証明するもので、これを手に入れるには申請後の自治体による調査が必要となります。この調査には時間がかかる場合が多いようで、実際に認定されて証明書が発行されるまで、一定期間は待たされるという声もよく聞かれます。

一方で、今回仙台市で高速道路無料化のために発行するものは「り災届出証明書」というもので、「届出」という言葉が間に挟まれています。しかも、これは建物の被害に限らず、家財(皿やコップなどの食器、パソコン、棚など)が壊れたと私たちが申請することにより、「わかりました。その届出がなされた被災者であることを証明します」と仙台市が認定する「証明書」。

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おそらく、先の震災で皿やコップが一つも割れなかったというケースは珍しいのではないでしょうか。仙台市では事実上、この程度の被害で「被災証明書」となり得る「り災届出証明書」の発行に踏み切ることにしたようです。これは仙台市のケースですが、おそらく他の自治体も同様の方法で発行するということは十分に考えられますので、確認されてはいかがでしょう。

ちなみに、この証明書の発行にかかった時間はわずか15分程度。該当する被災地の自治体に住んでいることを証明するもの(免許証や健康保険証など)や、事業所が置かれていることを証明するものを提示すれば、あとは流れ作業で次々と日付や区長の印鑑が押されます。

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即時発行されたこの証明書と身分証明書を提示することにより、ある一定の高速道路通行料金が当面1年間無料となるわけですが、これにも多少の注意が必要のようです。

まず、ETCレーンではなく、機械が置かれた一般レーンを利用する必要があるとのこと。これは、入る時に特に気を付けなければなりません。昔のようにまずチケットを受け取る必要があるのです。

そして出る時に、そのチケットをやはり一般レーンの係員に渡して「り災届出証明書」と「身分証明書(運転免許証など)」を提示する、ということのようです。では、どこからどこまでが無料なのでしょうか。これもチョッとばかり分かりにくいのですが、要はこういうことのようです。

現在示されている高速道路無料区間内にあるインターチェンジで、「乗る」か「降りる」かした場合。ただし、一度受け取ったチケットを、無料区間外で手放した時点で「無料」は終わりです。例えば、仙台宮城ICで乗って九州まで行っても無料。しかし途中でチケットを手放さないためには、首都高速を通らず北関東道や関越、北陸自動車道などを通る必要があります。

互換性のある高速道路が1本で繋がっており、入り口のチケットが途中で回収されないことが重要で、帰りもまた九州で乗ったチケットをそのまま東北へ持ち帰れば無料で降りられます。

ルート取りには注意が必要ですが、これは実に大きな恩恵です。東北の各被災地同士での交流や観光促進はもちろん、少し遠い場所へのボランティアなどにも腰が軽くなりそうです。

おそらく、しばらくは一般レーンの渋滞が続くことが予想されますが、これで人の移動が盛んになってお金が回るようになるのは間違いなく、また企業は経費の節減に繋がることでしょう。