一個のあんぱん

一昨日のことですが、灯油がそろそろ残りわずかとなったためにガソリンスタンドへ。少しずつ燃料類の供給状況が良くなってきたとはいえ、最後尾まではざっと100人以上。それでも4基の灯油ノズルを持つそのスタンドは回転が早く、約1時間待って20リットルを無事に購入。

灯油のポリタンクを久々で満タンに出来た満足感を噛みしめながら帰ろうとしたところ、目の前のセブンイレブンが開きそうな気配です。お?せっかくなので何か仕入れていこうと待っていたところ、オーナーらしき男性が出てきて入り口に貼り出した一枚の紙には、こう書いてありました。

- 緊急入荷のため、お一人様につき「あんぱん」か「食パン」一個でお願いします -

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その昔「一杯のかけそば」という話しがありましたが、それを思い出して少し苦笑いしてしまいました。そう多くない入荷数のために、買い占めを阻止して少しでも多くのお客様へ行きわたるようにしたいというお店の考えは正解ですが、思わず「一個のあんぱん」をしっかり購入して帰宅した自分。落ち着いてから考えると、はたして「あんぱん」が本当に必要だったのかどうか。

この一昨日の「あんぱん」の例は極端で、今や食糧を調達するのに困難な状況は少しずつ脱してきているようです。もちろん、すべての食材を自由に購入することは無理ですが、どのお店も店頭の列は日々短くなっており、そろそろ冷静な購買判断が必要なのかもしれません。

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実は、先週の15日から実家の父親を我が家へ避難させています。「避難」というほど大袈裟ではないのですが、14日夜の時点で我が家の電気が復旧したために、しばらくウチへ来て毎日テレビでも見てればいい、と誘ってみたところ、あぁ、それも良いかなぁ・・ということに。

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父を加えた我が家の生活は今日ですでに1週間を超えましたが、これもまた今回のことがなければ経験できなかったことかもしれません。そして父との会話のなかで、実に不思議な巡り合わせに気付かされました。なんと「宮城県沖地震」の時に、父は今の私と同じ年齢だったのです。まるで、あの時に助けてもらった恩返しを、やっと今こうして少しは出来るのかと。

その事を父に話してみたところ、大笑いしながらこう言いました。「なるほど。ということは、また33年後に大震災がくることになるな。その大地震で私が眠っている墓石がズレたならば、ちゃんと直してくれよ」と。もちろんです。でも、私も一緒に隣りで眠っているかもしれませんよ。