前回に引き続き、山形は天童温泉へ出掛けたお話し。宿である「湯坊いちらく」での美味しい夕食も無事に終わり、もう一度お風呂へと思いながら一旦部屋へ戻ると、外はすごい雪模様なのです。
雪の山形は言わば冬の風物詩のようなもので、その風情ある風景はこの季節だけのものですし、実際には雪が降るおかげで成り立っている経済活動も、この地では無視できないわけであります。
降ったり止んだり、一時的に強く降ってみたり。上空には今シーズンで地球上最強の寒波がきているせいか、降る雪も見事なパウダースノーで、この上で滑ったらさぞかし最高だろうなと想像してしまいます。それにしてもやはり雪景色は綺麗なもので、これを見ずして山形の冬は語れません。
さて、一夜明け、外には昨夜からの雪がたんまり積もったようですが、私たちはまず朝食をいただき、出発前に最後のお風呂をいただこうということになりました。
この「湯坊いちらく」の内風呂は少し塩素臭が残る循環ろ過方式でしたが、これは安全性を優先する以上はある意味しょうがないもので、この浴槽の大きさで完全掛け流し自体が無理なのでしょう。
しかしながら、キリっとした熱めのお湯はこの季節にとても心地良く、また露天風呂は小さめの浴槽ながら掛け流しのようで、ほんのわずかに感じる温泉の香りになぜかほっとするのでした。強い特徴のあるお湯ではないかわりに、飽きずに何度でも浸かりたくなるようなお湯です。
10時にチェックアウトして、空模様を見ながらこの後どうしようかということになりましたが、あまり無理せずに仙台へ引き返した方がよかろうということで、寒河江の道の駅にだけ寄って帰ることに。その間にも冬の嵐は猛威をふるいだし始めています。さすが、天気予報は大当たりのようです。
昨日には道路にまったく雪が無かった山形市内中心部もこの通りで、もはやアスファルトのアの字も見えない状況のなかで山形蔵王ICに向かいますが、吹雪の様相になってまいりました。
絵に描いたような「ホワイトアウト」状態で視界がさえぎられ、マジでヤバい状況です。昔はよくスキーに行きましたので雪道の運転は慣れているつもりですが、前が見えないのは非常にコワイもの。このまま立ち往生しそうになりますが、なんとか必死に山形蔵王ICに着いたのです。
ところが、なんと!山形自動車道の仙台方面は通行止めですと。だよね~。この状況では286号線を上るのも危険だと判断し、残るは48号線しかありません。猛吹雪のなか13号線を引き返し、恐る恐る48号線を帰ってきたわけですが、作並峠での外気温はなんと氷点下8℃。越境して宮城に入ってからも、この状況は変わらずの極寒な一日でした。
地球上最強の寒波を、偶然にも山形への旅中で味わうことになった今回。幸か不幸か、平穏な旅よりも、このような体験はおそらく一生の思い出となりそうです。今シーズンは、もうこれ以上の冬体験教室は必要なさそうですので、そろそろ春に登場していただくことにしましょう。でも、山形へはまた行きたくなるに違いありません。