たとえばカウンターが回転しない寿司屋に入ったとして、壁の張り紙に「本日の大トロ ・・ 時価」などと書いてあった場合には、もはや値段すら聞けないくらいヘタレな私ですので、「時価」という響きにはどこか自分とは関係の無い遠い世界のような感覚を覚えてしまうのです。
本日いつものGSへガソリンを入れに行ったのですが、なんと9日前に入れた価格よりも10円高かったのです。そう言えば前々回も、確かその前も価格が違っていましたから、行くたびに価格が変わっているのです。
仮に寿司屋で勇気をふり絞って聞いてみたとして、「へぃ!今日の大トロは1カンでたったの千五百円でやんすっ!」と返された場合には寝たフリをしていれば済みますが、ガソリンの場合にはそうはいきません。クルマを動かせなくなるおそれがあるからです。
寿司屋と違うのは「時価」が表示されていることですが、価格を見て「ちっ、今日は止めとこうかな」と言えないのが辛いのです。考えてみると、この業界は昔からそうでした。原油価格や為替に毎日のように影響されるわけですし大半が税金ですから、決して多くない利幅で調整することは不可能なのでしょう。
ちょうど昨年の今頃は暫定税率の件ですったもんだした時期で、油類の価格は腰を抜かすほど上がっていったのでした。当時は真面目に自転車か木炭自動車を活用しようかと悩みましたが、結局は工夫して何とか乗り切ったのでした。あの頃に比べればまだ安いのでしょう。
原価に必ず上乗せ出来る「時価」方式の業界もあれば、原価が変わっても企業努力で吸収し価格を頻繁に変えられない業界もあるわけですが、もちろんどちらの苦労も察するところです。
一生に一度で良いので、「本日の大トロ ・・ 時価」の張り紙に対して、「美味しいところを三つください」などと、値段を聞かずに小声で言ってみたいものです。