十数年前に、「2000年問題」というコンピュータプログラム上の問題が社会で騒がれたことがありました。確か、下2桁で表示していた年数が1999年から2000年に変わることによって、1900年と認識してしまうのではないかということでした。私たち素人はなすすべもなく、1999年の大晦日にはただただ息を殺すことしか出来なかったわけですが、結局は2000年1月1日の時報が鳴ってもパソコンから白い煙が上がることはなく、時代が明治に逆戻りすることもなく、皆がホッとしたのです。
あの時の騒ぎに比べれば実に限定的と言えますが、私のなかでは今年に入って「XP問題」が浮上してきています。言わば「2014年問題」といったところで、マイクロソフトがWindowsXPのサポートを終了させる期限が2014年の4月だとしている問題です。パソコンを完全にプライベートで遊ぶだけならマイクロソフトのサポートが無くとも生きていけそうですが、仕事でも使うとなるとそうはいきません。XPの使用禁止を強く求められるのは間違いなく、そろそろ手を打っておく必要があります。
考えられるいくつかの作戦がありました。まず、少なくとも来年までは様子を見る作戦。その次に、Windows 7入りのパソコンを購入する作戦。最後に、DSP版のWindows 7を購入して今のパソコンにインストールする作戦。現状では仕事上で使う相手のシステムがWindows 8に対応しておらず、それが来年まで対応するという確証もありません。よって、OSはWindows 7に限るわけです。さて、どうしたものか。もっとも簡単なのは新しいパソコンを買うことですが、相応の予算が必要です。
家電量販店に並ぶパソコンはほぼWindows 8だけになってしまい、購入先はいわゆるパーツショップやネット通販に限られますが、考えてみればこれまでもパソコンはネット通販で手に入れており、いくつか物色してみると今のところはWindows 7をまだ選択できるようです。また、ちょうど残りが少なくなってきたハードディスクと一緒にDSP版のWindows 7を購入しようとも考えたのですが、残念ながら私のPCに当てるドライバはすでにメーカー(DELL)から提供されていないようです。
2006年の末に購入した今のパソコンは、そろそろ丸7年。一度だけ保証期間内にマザーボードの故障で交換してもらいましたが、それ以降はノントラブルで絶好調。愛着もあり、できれば壊れるまでこれを使い続けたいとも思うのです。一か八かDSP版を購入してドライバをネット上で探してみるか、おとなしく新しいパソコンを手に入れるべきか。思案中にふと思い出したのがVistaのこと。
そう言えば、Windows Vistaと呼ばれるOSが存在していたことを、すっかり忘れていました。私のパソコンも購入した時こそWindowsXPだったわけですが、Windows Vistaのアップグレード版を数ヶ月後に無料で差し上げます! という特典付きだったのです。アレがあるはずだ!どこかに!さて、どこだ?XPでなんら不自由が無かった私は、後で送られてきたVistaのアップグレード版をどこかに放り投げておいたようです。もちろん、すぐに必死の捜索活動が行われたのであります。
約1時間にわたる捜索活動の結果、ヤツは無事に見つかりました。6年半もの間、パッケージが開かれることすらなかったWindows Vistaのアップグレード版。ずいぶん待たせたようだな。いよいよ君の出番がやってきた。頼むから、私のパソコンの中で大いに活躍する姿を見せて欲しい。
一昨日から始まった脱WindowsXP作戦。少々てこずってしまい、結局はハードディスクをフォーマットしてからWindowsXPをインストールし直し、その後にVistaへとアップグレード。さらにはSP1からSP2へと更新。万が一を想定してデータのバックアップを取っていたのは正解でしたが、それにしても意外に時間がかかる作業でした。目は疲れ、肩がこり、お尻は痛くて二つに割れてしまう始末。昨日からは避難させておいたデータを戻し、必要なソフトウェアも入れ直し、ほぼ現役に復帰したところです。まさに「灯台もと暗し」。脱XP作戦は手元にあるVistaで解決したのです。
ちまたでは評判の良くなかったWindows Vistaですが、今のところは以前のXPより少しだけ軽快になっている雰囲気。調べてみると、マイクロソフトのサポートは2017年までとあります。それまでこのパソコンが長生きしてくれると良いのですが、いずれにせよ約7年近くも使っているハードディスクだけは近々に交換予定。ただその時には、また今回と同じ作業が待っていると思うと少々げんなりです。思いがけず、今回は0円で解決できた「XP問題」。しかし、試練は今後も続きそうです。