「昭和のマッチ館」シリーズの第五弾。例によって父がコツコツと集めた数々のマッチの中から、今回は珍しい金融機関モノをピックアップしてみました。おそらく、ここに取り上げたすべての金融機関と取り引きがあったとは思えませんが、何かの用事があった歳にでもポケットへ入れて持ち帰ったのでしょう。よくもまぁ集めて保管していたものだと感服するのであります。
今では一定の預金客にティッシュやタオルを用意している金融機関が多いのでしょうが、こうしてみると、昔は他の飲食店と同様にマッチも配るのが一般的だったようです。もしかしたら「配る」というよりも、「ご自由にどうぞ」と、かごに盛られて用意されていたのかもしれません。
今は無き金融機関。そして今も残る金融機関。驚いたのは、「仙南信用金庫」のステッカー付きマッチで、各支店の電話番号が記載された小さなステッカーを電話の近くに貼ってもらおうという積極的な作戦です。しかも、ステッカーの裏には切手と同様の水糊までが塗られているという小ワザぶり。たとえマッチを使い終えて捨てられても、連絡先が残る可能性は大きいというわけです。
また、自動車ディーラーで用意されたものなのでしょうか。「カリーナ」と「ギャランGTO」のマッチが出てきました。「ギャランGTO」が当時としては実にかっこよく見え、子どもの頃にプラモデルを買って作ったのを憶えています。また、「カリーナ」は私が「117クーペ」の次に手に入れた愛車ですが、このマッチの時代よりもずっと後のことで、いわゆる「4代目」のモデルでした。
そして「MG5」のマッチ。「若い肌がきわだつ時間」というコピーに心を揺さぶられるわけですが、「う~ん・・マンダム!」と同様に、今でもなお売り続けられている日本を代表する男性化粧品なのでしょう。最後に、おそらく該当する列車の食堂車に用意されていたと思われる「超特急」と「特急」のマッチ。今思えば「日本食堂」という名前は実にスケールの大きいイメージを持っていたわけで、当時は誰しもが聞いたことのある企業名の一つだったと言えそうです。