現在はマニュアルトランスミッションのクルマに乗っている私でも、オートマチックの腕時計ならいくつか持っています。などと書くと、マニアの方は身を乗り出されるかもしれませんが、残念ながら私の腕時計はすべて国産の普及品。ウン十万円もする舶来品などではありません。
10年以上も前の一時期。腕時計に少し凝ったことがありました。それも機械式腕時計。ほとんどがオートマチックと呼ばれる自動巻きタイプのものです。比較的低価格な舶来品なども手に入れたりしたのですが、チョッと増えすぎたところで正気に戻り、実用的でメンテナンスもやりやすい国産品だけを残してオークションに出してしまいました。で、残ったのはこの3本。
電池のいらない機械式腕時計こそがエコロジーだ!などと勝手に信じながら、簡単な調整工具や風防磨きなども購入しながらせっせと楽しんでいたのですが、数年前にふと目に留まったソーラー式の電波時計。えええ~?なぬなぬぅ?電池もいらずに時刻もまったく狂わない?マジですかぁ?
そして興味津々で手に入れたカシオのソーラー電波時計。確か1万円ぐらいでしたが、これがスゴいわけです。まったく手の掛からない実に良い子で、時刻合わせはもちろん、カレンダー送りも自動調整。特に気を配ることと言えば、盤面に光を当てておくことぐらいなのです。
先日、村田町の「cafe 蔵人」で目にした振り子時計。60年モノらしいのですが、ゼンマイを巻けば今でもしっかりと時を刻んでくれる逸品だとのことでした。そしてその日の夜にそのことを思い出し、久しぶりで取り出した機械式の腕時計。私にすっかり放置されていた時計たち。
チョッと左右に振ってみたところ、静かに秒針が走り出しました。おそらく動きたかったのかもしれませんが、しばらく動かせてもらえなかった機械式腕時計。ソーラー電波時計はたとえ放置していても正確な時を刻み続けてくれますが、こいつらは私の手助けが必要なのです。
そのなかで、もっとも古いセイコーの自動巻き。この子は分解清掃が必要な時期を大幅に過ぎています。そのことは分かっていましたが、おそらく1万数千円ほどかかるであろう費用に恐れをなし、ずっと見て見ぬふりをしていたのです。機械モノは動かさないことが劣化に繋がる最大の原因だそうで、このセイコーも手遅れにならないうちに助けなければなりません。
ゼンマイが巻かれ、時を刻むために生まれてきた機械式腕時計。生かすも眠らせるも手に入れた私に責任があるようです。あの振り子時計から、そのことを教えられたような気がします。