真夜中のたこ焼き

震災前に半分程度手をつけていた冷凍のたこ焼き。震災による停電で、直後の数日間は冷凍庫の中で自然解凍された冷凍食品を優先して食べる日々が続きました。しかし、電子レンジが必要なこのたこ焼きを食べるチャンスはなく、とうとう電気が復旧した後もそのままになっていたのです。

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スティックアイスなど、原型をとどめていない冷凍食品の数点は廃棄したのですが、なぜかこのたこ焼きだけは捨てることが出来ず、そのまま再冷凍処理されることになったのであります。

おやつの時間、または夜食の共として私を楽しませてくれた冷凍たこ焼き。昨夜半にもう一度命を吹きこんで、夜食として食べてみることにしたのです。はたして大丈夫なのだろうかと。

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電子レンジが普通に使えることのありがたさ。一度自然解凍されてから再冷凍されたたこ焼きは、以前とまったく変わらない美味しさを残していました。もちろんレンジ食品ですので、今流行りのカリっとした食感は期待できるはずもありませんが、なぜかホッとするこの美味しさ。

考えてみると、昔は食品に「賞味期限」や「消費期限」といったはっきりした表示は無かったように記憶しています。少なくとも私の年代だと、その食べ物が食べられるかどうかは、まず匂いで判断する、あるいは一口食べてみて判断する、という方法が一般的だったような気がします。

管轄省庁によると、賞味期限とは「美味しく食べられる期限」を指すのだとか。つまり、味覚は人によって違うわけですから、賞味期限が過ぎても美味しいと感じる場合も十分にありそうです。賞味期限を過ぎたものは食べられない、あるいは捨てなければならない、というような錯覚に陥りそうな表示システム。昔ながらに「匂い」や「一口」での判断が必要かもしれません。

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「レモン70個分」と聞いた時に誰もが驚いたこの表示。70個のレモンが並んでいる様子、あるいは70個を頑張って食べようと1個ずつレモンにかぶりついている姿を想像すると、驚くのは当然であります。しかし大人になるにつれて、そもそもレモンに含まれているビタミンCの含有量が想像するよりも多くないと気付くのですが、話題の放射性物質はどうなのでしょう。

福島や茨城などの野菜から、あるいは生乳などから、暫定基準値の何十倍にあたる放射性物質が検出され、出荷停止や摂取制限が発令されました。そもそも、ヨウ素だのセシウムだのが何ベクレルと言われても、物理や化学が万年赤点だった私にはさっぱり分からないのです。

専門家の先生方は口を揃えて「食べてもすぐ健康に影響が出るレベルではない」しかも「何十キロという量を一度に食べなければ」などと言います。震災後で食糧の乏しいなか、一方では捨てられる運命の野菜や生乳。実は暫定基準値もレモンと似たような話しなのでは?と思ってしまいます。捨てるくらいなら分けてくださいな。放射性物質を匂いで嗅ぎ分けますから。