前回に引き続き、父が収集していたマッチの数々をご覧ください。こうして見てみると、当時は飲食店だけがマッチを用意していたわけではなく、実に様々な形態のお店が自店の宣伝用にマッチを作っていたことがわかります。今ではほとんど見られなくなってしまいました。まさに時代の流れです。
まだまだ「光沢紙」が世に出てきていない時代のようです。「クローバー」「レストラン松屋」「純喫茶 白鳥」などは私のひと世代前かと思われますが、「信用堂」「ひらつか」「幸福堂」は懐かしい限りです。「幸福堂」はその後に確か「アムール幸福堂」という店名に変わったはずですが、このマッチに書かれた「チャコールビフテキ」と「ナポリ風スパゲット」の文字が泣かせます。
「九重本舗 玉澤」はもちろん、中央通りの「林屋」や一番町の「橘寿司」、「カバン・ハンドバッグの鈴木」は、今も現存する仙台では老舗中の老舗と言えるでしょう。たかがマッチでも、その時代背景を映す道具の一つとも言えるもので、実に興味深く見入ってしまうのであります。