石垣島のマングローブ

マングローブ。野球で使う道具ではありません。以前から耳にしていたことはあったのですが、「南国の植物」といった漠然とした理解しか持ち合わせていませんでした。数年前から宮古島を訪れるようになり、また今年は石垣島にも足を踏み入れ、マングローブの理解を一層深めたと言えそうです。

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南国と言えば、さまざまな風景が思い浮かびます。海や空はもちろん、建物や花なども、私たちが住む東北地方とはまるで違うことにすぐ気がつきます。そしてこのマングローブの風景にも最初は驚きました。熱帯や亜熱帯地域の河口など、満潮になると海水が満ちてくるところに生えている植物をまとめてマングローブと呼ぶのだそうで、マングローブという名の植物があるわけではないとのこと。

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地元の皆さんから見れば当たり前の風景なのかもしれませんが、私たち東北人にとってこのマングローブの林は南国を象徴する景色です。それもそのはず。日本では奄美大島が自然分布でのマングローブの北限だそうですから、現物をそうそう目にすることはできません。しかし、考えてみれば珍しい自然の風景はお互い様。南国の方々が樹氷や雪原に驚くのと同じことなのかもしれません。

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このマングローブで、今回は小さなドラマを知ることとなりました。今年の旅行中も、出題されたテーマをカメラに収めるという課題を隊長である弟から用意されたわけです。そのなかの一つだった「マングローブの黄色い葉」。んん?そう言えば、よく注意して見てみると、黄色の葉があります。

マングローブの林で黄色の葉を見つけ、それをカメラに収めることは決して難しい課題ではありませんでした。しかし、なぜ黄色いのか。それも一つの枝でほんの数枚だけ。もちろん紅葉(黄葉)ではなさそうです。気になって気になって、地元の方へお聞きしてみました。するとそこには、思いがけないドラマが隠されていたのです。後で出題者の弟にも確認すると、まったくその通りらしいと。

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淡水と海水が混ぜ合わさる河口付近に生きるマングローブとはいえ、塩分が決して得意なわけではないとのこと。根の部分である程度の塩分をろ過するらしいのですが、それでも取り切れなかった塩分は限られた葉だけに蓄積され、やがてその葉は落ちて本体から塩分を排除するというメカニズムなのだそう。つまり、この黄色い葉は、本体を守るために自分が犠牲になって塩分を溜め込んだ葉。

昨日には参院選が公示され、久しぶりに賑やかな選挙戦が繰り広げられそうです。波に乗る与党と必死に食らいつく野党。あっぺとっぺ党としては事態を静観する構えですが、政治家を志す皆さんにも是非とも見ていただきたいこの「マングローブの黄色い葉」。命を懸けていただきたいものです。