学生時代。どういうわけか「峠の茶屋で団子でもどう?」と誘ってくる友人がいました。いいねぇ!そう言いながらいつも中央通りの喫茶店へ向かうことになり、そいつとは一度も峠の茶屋に行くことは無かったのであります。彼の影響で私にとっては「峠の茶屋」が一種の憧れになってしまい、いつかは行ってみたいと思っているのですが、残念ながら未だ実現できず。
実際には「峠」に構える風情のある「茶屋」にはまだお目にかかっていないのですが、現在のところ私のなかでの三大茶屋は、松島の「どんじき茶屋」、西公園の「源吾茶屋」、そしてここ秋保大滝の「不動茶屋」。それぞれに、何とも言えない風情を感じる正真正銘の茶屋です。
どういうわけか、少し疲れが溜まってくると自然を求めて山へ向かう特性があるようです。おそらく私の前世は「猿」だったことに間違いなく、山が近づくにつれて徐々にリラックスしてくるのが何よりの証拠です。今日も夕方にかけてチョッと足を伸ばして秋保大滝へ。マイナスイオンをたっぷり浴びた後には、滝見台の脇に位置する不動茶屋で一休み。極楽の時間です。
同じ秋保に構える「太田豆腐店」で運営する「不動茶屋」。おそらく休日や紅葉の時期にはとても混雑するのかもしれませんが、今日の夕刻には運良くも貸し切り状態。昼食がかなり遅かったせいで、奥州三大茶屋に共通して用意される「餅」は食べることができませんでしたが、緑に囲まれた茶屋で吹き抜ける風を感じながら喉を潤す時間は、地味に贅沢なひとときです。
仙台市内の中心部からでも、西道路のトンネルを通って錦ヶ丘経由で秋保に出れば、おそらく小一時間で到着できそうな「不動茶屋」。仕事で少し疲れた時には、「滝見の茶屋でずんだ餅でもどう?」と誰かを誘ってみるのが吉です。堂々と表に準備されている古いかき氷機の名は「初雪号」。今年はもうしばらくこの茶屋の主役として活躍の場を与えられるのでしょう。