ブラザー軒の五目焼きそば

ひょんなことから知り合いになった先輩と、数ヶ月ぶりにお会いすることになりました。前回同様に県民会館2階にある「東龍門」にしましょうかと待ち合わせたのですが、残念ながら本日の水曜日は定休日の様子。あらら、どうしましょう。底冷えのする一番町を南下しながら先輩が切り出しました。ブラザー軒はどう?おお!ブラザー軒!リョーカイです。

CIMG0497

私よりもかなり歳上である人生の先輩。 しかし、そうは感じさせないエネルギーとユーモア、そして何とも言えないワンパクそうな「人味」が、若輩者の私には実に刺激的なのです。もともとは仙台人であるがゆえに昔の仙台のこともよくご存知で、私にとっても貴重な存在です。

一番町4丁目にお店を構えるブラザー軒も、私などよりはるか以前から利用されていたようで、私が懐かしいですねなどと言うこと自体がおこがましいほどですが、やはりどこか懐かしさを感じてしまいます。聞くところによると、明治35年の創業だというブラザー軒。いくら先輩でもさすがに創業当時のころをご存知なわけではなく、そこまでの歳上ではないようです。

CIMG0495

CIMG0501

CIMG0503

CIMG0505

昔は仙台中央警察署があったこの付近。ブラザー軒の向かいに建つ江陽パルサービルには、何軒かのキャバレーなどもあったと記憶していますが、何と言ってもこの先の一番町角にはサンリツ楽器がありました。学生時代に傾倒したバンド活動はサンリツが当時の私たちにとって基本的な基地とも言える存在でしたので、この付近には頻繁に顔を出していたはずです。

しかし、学生時代にはブラザー軒でも隣の龍天江でも食べた記憶はなく、おそらく当時の私たちには高級店に見えたのでしょう。社会人になってからは何度か訪れたブラザー軒。昔から何となくハイカラなイメージを持つお店でしたが、それが今でも変わらないのは不思議です。

CIMG0509

CIMG0511

CIMG0512

CIMG0513

残念ながら隣の龍天江は震災で甚大な被害を受け、お店自体は江陽グランドホテルの13階に移転し、昔の建物は取り壊されました。一方で、なんとか踏ん張ったブラザー軒。しかし、以前のレストランはまだ復旧されず、食事処は本館の中に用意されているようです。

そして、本日に人生の先輩といただいた840円の五目焼きそば。以前に食べた味をすっかり忘れていた私は、あれれ?こんなに美味しかったけ?と思わせる実に上品な味なのです。特に、焼き加減が絶妙な少し細めの香ばしい蒸し麺。この麺は他では味わえないかもしれません。

併設される「ブラザービル駐車場」。今は無き「佐々重パーキング」を思い出すようなその造りに、これまた懐かしさを覚えるのでした。料理の「味」だけではなく、お店の歴史と建物の雰囲気を、何としても継承していただきたい。切にそう願いながらブラザー軒を後にしました。